しかし、それからが、長かった。「コンセプトは決まりましたが、従来からのミネラル・ウォーターの世界観に縛られているのは、開発チームの私たちでした。」 販売の前年の秋、日本コカ・コーラでは、販売を手掛ける日本全国のボトラー各社を呼んで、新製品発表会をする。その壇上で発表者が掲げたPETボトルには、無地のラベルが貼られていた。ブランド名すらない。デザインも何も決まっていなかった。 会場中からは「疑念の視線」が集まった。「どうしようかと思いました・・・発表できるものが、容器以外ほとんどなかったわけですから」 しかし、次の瞬間、壇上で発表者がPETボトルを手でぎゅっと絞ってみせると、会場からは歓声があがった。「エコを目に見えるアクションに落とし込む“エコの可視化”に成功したと、自信を持つことができました」 とはいえ、発表会にブランド名すら決まっていないのは異例のこと。「完全に煮詰まっていました。どう