森友学園と加計学園を巡る国会論戦が1年以上も続くのに、世論調査では国民の過半が政府の説明に納得していない。この異常事態について、ごまかしや論点のすり替えを図る不誠実な政府の国会答弁が原因だとの指摘もある。ネット上でいま、そのカラクリを暴く「ご飯論法」なるものが注目されている。発案者とともに政府の答弁を考えた。【和田浩幸/統合デジタル取材センター】
加計(かけ)学園の獣医学部新設計画をめぐり、政府は22日、柳瀬唯夫・元首相秘書官(現・経済産業審議官)が学園関係者と首相官邸で3回面会したことは「内閣法に規定する事務の一環」とする答弁書を決定し、面会は問題なかったとの見解を示した。 国民民主党の城井崇衆院議員から提出された、「面会はどのような法的根拠、権限に基づいて行われたのか」などとする質問主意書に答えた。 内閣法23条3項は首相秘書官の職務について、「首相の命を受け、機密に関する事務をつかさどり、または臨時に命を受け内閣官房その他関係各部局の事務を助ける」と規定している。答弁書では「一般論として、首相秘書官が関係者との面会等を通じ、情報収集等を行うことは、同項に規定する事務の一環であると考えられる」とした。 野党は柳瀬氏と加計側との面会を踏まえ、獣医学部新設は「『加計ありき』だったのではないか」と指摘している。
来年度から、外国人労働者向けに新しい「在留資格」ができると報じられている。日本経済新聞によると、技能実習を終了した外国人に対して、国は、さらに最長5年間就労できる資格をあたえるという。 そのあとも、試験に合格すれば、家族を呼び寄せたり、もっと長く国内で働いたりできる資格に移行できるようだ。現行の技能実習制度は、最長5年間の実習期間が過ぎれば、実習生は帰国することになる。就労資格で残すことで、深刻になりつつある人手不足に対応するかたちだ。 技能実習より待遇がよくなるため、移行を希望する外国人が多いのではないかという期待もあるが、一方で、現在の技能制度をめぐって、実習生たちに過酷な労働環境をしいているという指摘もある。技能実習制度を批判してきた指宿昭一弁護士は「新制度でも人権侵害がなくなると思えない」と話す。指宿弁護士に聞いた。 ●「短期間の労働者や留学生の受け入れも、移住者としてとらえるべき
加藤勝信厚生労働相が10日、「個人情報に関わる」として認めてこなかった野村不動産の男性社員の過労死と労災認定の事実をようやく認めた。だが、社員の過労死をきっかけに東京労働局が同社に特別指導をしたのに、その経緯については「今後の監督指導に影響を及ぼす」ことを理由に説明を拒む姿勢を貫いた。特別指導の不透明な経緯に与党からも疑問の声が出始めた。 「過労死の労災申請をいつ知ったのか」 10日の参院厚生労働委員会。社民党の福島瑞穂氏ら野党議員は加藤氏に何度も問いただした。社員が過労死して労災認定されたなら、それより前に遺族から労災申請が出ていたことは自明だ。加藤氏は「(申請があったという)認識のもと(東京労働局の)監督指導が行われていた」と認めざるを得なかった。にもかかわらず、労災申請を知った時期の説明は拒み続けた。 野党は、昨年12月25日の…
4年前、東京・葛飾区の当時中学3年生の男子生徒が自殺した問題で、区が設置した第三者委員会は、同じ部活動の生徒による男子生徒への行為は社会通念上のいじめにはあたらず、自殺との因果関係は認められないとする報告書をまとめました。 第三者委員会が28日に区に提出した報告書では、男子生徒が自殺した当日、部活動のチーム決めが希望通りいかずうずくまっていたところ、複数の生徒に霧吹きで水をかけられたりズボンを脱がされそうになったりしたとしています。 報告書では、こうした行為はいじめ防止対策推進法で定義されているいじめに該当する可能性があるものの、社会通念上のいじめにはあたらず、「ふだんの遊びの域を超えないもの」と認定し、自殺との因果関係は認められないと結論付けています。 いじめの定義をめぐっては、総務省による調査で、法律上いじめにあたる行為なのに、継続して行われていないなどと定義を限定的に解釈していじめで
東京電力の旧経営陣3人が原発事故をめぐって強制的に起訴された裁判で、グループ会社の社員が証人として呼ばれました。社員は、事故の3年前に巨大な津波の想定をまとめた際、東京電力の担当者から「計算の条件を変えることで津波を小さくできないか」と検討を依頼されたことを証言しました。 28日、東京地方裁判所で4回目の審理が開かれ、事故の3年前の平成20年に福島第一原発の津波の想定をまとめた東京電力のグループ会社の社員が証人として呼ばれました。 社員は、検察官役の指定弁護士の質問に対して、高さ15.7メートルの津波が押し寄せる可能性があるという想定を東京電力に報告していたことを証言しました。 その際、東京電力の担当者から「計算の条件を変えたり津波の動き方を変えたりすることで、津波を小さくできないか」と検討を依頼されたことも明らかにしました。 これ対して、社員は「専門家の学会で使われている手法なので条件は
首相官邸に入り記者団に囲まれる加藤勝信厚生労働相(中央)=2018年2月21日午後2時28分、川田雅浩撮影 安倍晋三首相は21日、加藤勝信厚生労働相を首相官邸に呼び、働き方改革関連法案について協議した。裁量労働制の労働時間に関する首相の答弁に野党が猛反発していることを踏まえ、加藤氏は、裁量労働制の対象拡大を2019年4月から20年4月に1年延期する案を報告。首相は容認したうえで「しっかり自民党内の理解を得るように」と指示した。しかし、野党は施行時期の見直しに納得せず、国会で引き続き追及する構えだ。 働き方改革関連法案はまだ国会に提出されていない。加藤氏は会談後、「延期と誤解しているが、もともと施行時期をどうするかという議論はある。法案提出時期が変わっている」と記者団に語った。施行の延期は、昨年秋の臨時国会を想定していた法案の提出が遅れたためであり、国会で野党に押し込まれたからではないという
裁量労働制に関する厚生労働省のデータを巡り、問題となっている「2013年度労働時間等総合実態調査」に、同じ人の残業時間が1週間よりも1カ月の方が短いなど、異常な数値が新たに87事業場で117件見つかった。立憲民主党の長妻昭代表代行が厚労省の資料を精査して発見し、21日の野党の会合で厚労省幹部が報告した。安倍晋三首相は国会で「データを撤回するとは言っていない」と答弁したが、データの信ぴょう性がさらに揺らいでいる。 また、これまで厚労省が「ない」と説明していたデータの基となる調査票が、20日に厚労省本庁舎の地下倉庫から見つかったことも判明。野党の指摘を受けて調べたところ発見されたといい、問題発覚後の調査の甘さが浮かんだ。
安倍首相、裁量労働の再調査せず=加藤厚労相、データ誤用で故意否定 安倍首相 残業代 衆院予算委員会で答弁する安倍晋三首相=20日午後、国会内 安倍晋三首相は20日の衆院予算委員会で、「働き方改革」関連法案に絡み問題となった裁量労働制のデータ誤用に関し、実際に働く人の労働時間の再調査を行う必要はないとの考えを示した。立憲民主党の逢坂誠二氏が実態把握のため再調査を求めたのに対する答弁。 裁量労働、異なるデータ比較=政府「不適切」と陳謝 首相は、再調査を実施しない理由として「労働時間の資料も含めて労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)で審議をした」と説明。加藤勝信厚労相も「それ(再調査)をしなければ先に進まないということにはならない」と主張した。 政府はデータ誤用で、裁量労働制の下で働く人の方が一般労働者よりも労働時間が短いとしていたが、それぞれ質問方法が異なっていたとして、19日に「不適切」と
この数年、大手銀行は投資信託の販売に力を入れている。預金と異なり、販売するたびに「手数料」が入る商品だからだ。そして銀行が熱心に売り込んでいるのが、銀行への信頼度が高い高齢者だ。エッセイストの鳥居りんこ氏の母親は、銀行員の女性から3000万円分の投資信託を購入させられ、2000万円以上の損失を被ったという。一体なにが起きたのか――。 *本稿は、鳥居りんこ『親の介護をはじめたらお金の話で泣き見てばかり』(ダイヤモンド・ビッグ社)の第1章「高齢者狙いの詐欺被害編」に著者が加筆したものです。 私の母は大手銀行にこうやって騙されました この度、義憤を覚えて本を上梓した。こんなことがまかり通っていて良いのかという憤りがそうさせた。 「こんなこと」とは大手銀行が筆者の母を騙したことを指す。 私(筆者)は父亡き後、約10年間、難病の母を介護していたが、途中で在宅介護に限界を感じ、母を老人ホームへ移した。
裁量労働制で働く人の労働時間について「一般労働者より短いデータもある」とした国会答弁を安倍晋三首相が撤回した問題で、首相の答弁は、裁量労働制で働く人より一般労働者の労働時間の方が長い集計結果が出やすい調査を元にしていたことが分かった。そもそも質問内容が同じでなく、一般労働者に「最長」の残業時間を聞く一方、裁量労働制で働く人には単に労働時間を尋ねていた。 関係者によると、一般労働者への質問は、1日の残業時間について1カ月のうちの「最長時間」を尋ねる内容だった。一方、裁量労働制で働く人には単に1日の「労働時間の状況」を聞いていた。このため、一般労働者の方が長時間の回答が集まりやすくなっていた。質問そのものが異なる調査の結果を単純比較して答弁の根拠にしていたことになり、不適切な答弁だったことが一段と明白になった。データの使い方への疑義が強まるのは必至だ。 答弁の根拠になったのは厚生労働省が201
野党は19日朝、国会内に厚生労働省の担当者を呼び、裁量労働制をめぐって安倍晋三首相が撤回した答弁の根拠に関する精査結果について説明を受けた。同省担当者が「(根拠となるデータが)不適切だったと認識しており、深くおわび申し上げます」と謝罪。これに対し、「故意に捏造(ねつぞう)したのではないのか」(希望の党の山井和則衆院議員)といった批判が相次いだ。 厚労省は一般労働者で最も長い残業時間をもとに答弁が作られていたなどと説明。山井氏は「故意に、裁量労働制が短く一般労働者が長いというデータを作ったのではないか」と指摘した。立憲民主党の初鹿明博衆院議員も「一番長い時間をとった数字だとわかった上で答弁させていたのではないか」と追及。厚労省の担当者はデータの確認が不十分だったと釈明した。 一方、衆院予算委員会も紛糾した。委員会に先立って開かれた理事会で厚労省の担当者が20分余りにわたって精査結果を説明。終
裁量労働制を巡る安倍晋三首相の国会答弁の根拠になったデータは、違う質問への回答を同じ基準で比べるという極めてずさんなものだった。政権が最重要法案と位置づける「働き方改革関連法案」が、不適切なデータの比較を元に審議されていた。裁量労働制の対象拡大への批判をかわす目的で、厚生労働省が調べたデータが都合よく利用された可能性も否定できない状況になってきた。 問題のデータは労働基準監督官が管内の事業所を訪ね、その事業所で労働時間の長さが「平均的」な社員について、労務担当者などから聞き取った内容を集計したものとされる。この調査を元に、1日あたりの労働時間は、一般労働者(平均9時間37分)より裁量労働制で働く人の方が短いとされていたが、これまでの国会審議などで、データの信憑性(しんぴょうせい)を疑わせる事実が次々と明らかになっている。 裁量労働制で働く人は1日の…
学校法人「森友学園」への国有地売却問題で、立憲民主党や民進党、希望の党など野党5党の国会議員が16日、東京・霞が関の国税庁を訪れた。佐川宣寿・前理財局長(現・国税庁長官)との面会を求めたが公務多忙を理由に断られ、再度の面会を求めつつ、同庁を後にした。 佐川氏への面会要請は確定申告が始まる16日に合わせ、立憲、民進、希望、自由党、社民党の衆参議員が参加。国税庁内に入ったものの、担当者から「(佐川氏は)税務署を回っている」などと告げられ、面会を果たせなかった。 立憲の川内博史衆院議員は記者団に「(佐川氏は)逃げ回らず、議論の場に出た方が税に対する信頼も高まるはずだ」と主張。希望の今井雅人衆院議員は「(この日の面会は)予定が合わないという説明だったので、改めて予定が合う時間に会えると思っている」と話した。 森友問題をめぐっては、参院予算委員会の野党メンバーからも佐川氏との面会や税務署視察を求める
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