コカインという白い薬物をめぐる本書は凄惨な事件から始まる。それはキキの物語だ。 キキの物語を語るには、まずこの男のことを知らなければならない。ミゲル・アンヘル・フェリックス・ガジャルド、通称〈エル・バドリーノ〉はメキシコで「コカインの帝王」と崇められた男だ。今も〈エル・バドリーノ〉の時代もコカインの一大生産地はコロンビアだ。しかし、コカインの大量消費国アメリカにコロンビアは遠すぎる。また当時、コロンビア国内ではカリ・カルテルとメデジン・カルテルがコカインの密売ルートの支配をかけて抗争を繰り返し、力を失いかけていた。さらにメデジンの伝説的な首領パブロ・エスコバルは米連邦捜査局(FBI)の買収に手間取り、膨大な量のコカインを摘発され、窮地に立たされていた。 エスコバルは、アメリカとの国境線を支配する〈エル・パドリーノ〉に助けを求める。二人は意気投合し、共にビジネスを始める。警察官から転身し、既
ピケティ『21世紀の資本』 訳者解説 (v.1.1) 2015.1.23-2.1 山形浩生 hiyori13@alum.mit.edu この資料はクリエイティブコモンズ Attribution-ShareAlike 4.0 国際ライセンス下で公開されています. 今日の構成 • 1. 『21世紀の資本』とピケティのえらさ • 2. あらすじ: r > g から格差拡大へ • 3. 格差是正の処方箋は? • 4. ピケティ本の受容・誤解・批判 • 5. 日本への示唆とは? • 6. 落ち穂拾い 2 まずはじめに…… • ピケティの本と、ピケティの他の論文での記述と、 ピケティがインタビュー等での発言とは、分けて 考えよう! – 本がいちばんストイック。たぶん意図的に書いていな い話もかなりある。 – 前二つは、それなりにきちんと考えてまとめたものだ けど、インタビューは(特に日本のことなんかは
発足当時は一部ウォッチャーに注目されるだけだったが,あれよあれよという間に全国紙に何度も登場しついには流行語大賞にまで影響を及ぼすようになった排外主義団体「在日特権を許さない市民の会」。それをめぐっては多くの言説が飛び交ってきたが,実は本格的な学術研究は殆ど現れていなかった。本書『日本型排外主義――在特会・外国人参政権・東アジア地政学』は在特会に関する初めての本格的研究であり,従来の在特会理解に修正を迫るものである。日本型排外主義―在特会・外国人参政権・東アジア地政学―作者: 樋口直人出版社/メーカー: 名古屋大学出版会発売日: 2014/02/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見る 本書の構成は次の通り。プロローグ(1-7頁)序章.日本型排外主義をめぐる問い(9-28頁)第1章.誰がなぜ極右を支持するのか――支持者像と支持の論理(29-48頁)第2章.不満・不安で排
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