九州大学大学院農学研究院の辰巳隆一准教授、水野谷航助教、中村真子准教授らの研究グループは、筋組織幹細胞(衛星細胞)が合成・分泌するタンパク質 セマフォリン3A(Sema3A)によって抗疲労性筋線維の形成が誘導されることを初めて見出すと共に、細胞膜受容体に始まる細胞内シグナル伝達軸を明らかにしました。 骨格筋の疲労耐性やエネルギー代謝(糖と脂肪酸のどちらを使うか)などの特性は、“筋線維”と呼ばれる細長く大きな筋細胞のタイプによって決まります。筋線維には、抗疲労性筋線維(別名:遅筋型;マラソン選手に特に多い)と易疲労性筋線維(速筋型)の2つのタイプがありますが、筋の成長や再生の過程でどちらのタイプになるかを決定する機構はこれまで不明でした。 本研究では、衛星細胞のSema3A遺伝子だけを不活化すると、抗疲労性筋線維がほぼ完全に消失することから、生体内においてSema3Aが強力な初期決定因子とし