世界的にインフレが生じ、日本でも物価高が家計を直撃している現在。しかしマクロな視点で見てみると、1995年ごろから日本では「賃金も物価もほぼ横ばい」であり、現状からは考えられない「慢性デフレ」状態だ。 その理由を説明するカギは、値上げを忌避する日本人の行動パターンにある。【前編】『世界中がインフレでも、日本だけ「ずっと慢性デフレ」という残念な現実』に引き続き、新刊『世界インフレの謎』から抜粋して紹介しよう。 「値上げ嫌い」と「価格据え置き慣行」 拙著『物価とは何か』の中で私は、日本の消費者に「値上げ嫌い」というレッテルを貼りました。それは文字どおりの好き嫌いという意味ではなく、【前編】『世界中がインフレでも、日本だけ「ずっと慢性デフレ」という残念な現実』で述べたように、値上げを見ると他店に逃げるという行動のことを指しています。 米欧の消費者とて値上げが好きということは決してなく、嫌いである