年4回発行の浜通り俳句協会誌「浜通り」第141号が届いた。<東日本大震災特集号>である。多くの俳人が3・11の体験を記し、句を詠んでいる。招待作品も載る。通常は50ページ前後。それより十二、三ページ多い。渾身の編集だ。 招待の黒田杏子(ももこ)さんの作品に「原発忌福島忌この世のちの世」があった。「原発忌」と「福島忌」。新しい季語だ。 「原爆忌」は夏(ヒロシマ)、秋(ナガサキ)。「原発忌」「福島忌」は3月11日。春(フクシマ)の季語、というわけだ。 同誌所収の黒田さんのエッセーに、選を担当する「日経俳壇」に掲載した句がいくつか紹介されている。「おろかなる人知なりけり原発忌」「広島忌長崎忌そして福島忌」。早くも外野の人がおかしなこと(造語=季語)を詠みだした。 新季語にやりきれない思いがわいてくる。外部から、ヒバク地に住んでいるのだという認識を強いられる。季語の消費ではないか――俳句の門外漢は