発刊に寄せて(平林国彦)/日本語版 序(ランダ J. サーデー)/まえがき(堀内 勁) 発刊に寄せて 子どもたちの死亡数を削減させることについては,この15年間で大きな前進があった.例えば,1990年には年間1,240万人亡くなっていた5歳未満の子どもたちの数を,2009年には810万人までに減少させることができるようになった*1.しかし,世界を平均してみても,最も貧しい20%の世帯の5歳未満児死亡率は,最も豊かな20%の世帯の2倍以上であることが,UNICEFの最近の分析により明らかになってきた*2.さらに,子どもたちの最良の発達と生存のために不可欠な母乳育児の開始・継続においても,大きな格差が存在する.例えば,授乳の早期開始は,新生児の死亡率を約22%低下させる効果があるが*3,開発途上国で生まれる新生児,およそ1億2千万人のうち,誕生後1時間以内に母乳を与えられる子どもは,いまだ44