『揚子江は今も流れている』 犬養健 中公文庫 (絶版) 先々週、会社で雑談しているとき台湾と大陸とのあいだの話になった。その人は今も海峡を挟んで両者は鋭く対峙しているという思いを持っておられるようだが、ほんの少しだが実際に訪問した感覚からすると、これは少し違っているのではないかと思う。 特に馬総統の国民党が政権を民主党から奪取したこの春以降、国民党トップの訪中、直行便の開設など矢継ぎ早の路線転換を推進している。勃興する大陸との関係を強固にすることが実利にかなうという情勢判断とともに馬総統が外省人の伝統的エスタブリッシュメント出身であることもその要因であるだろう。 そうなるととばっちりをうけるのは日本との関係なのかもしれない。6月の訪台中、ほとんどの新聞のトップニュースは尖閣列島での漁船沈没事故についての日本批判だった。TVニュースもかつてない激しい批判を繰り返し、日の丸を焼くシーンをセンセ