■ちいさこべえ(1) / 原作:山本周五郎 画:望月ミネタロウ 望月ミネタロウはとても好きな漫画家なのだが、3月に出ていたこの『ちいさこべえ(1)』のことはすっかり失念していた(望月先生スイマセン)。書店で見かけて慌てて購入、より純度を増したその作品構成を堪能することができた。 それにしても今回の作品は文学小説家・山本周五郎の中篇が原作だ。原作のタイトルは『ちいさこべ』となっているのだが、読んだことはない。そもそも山本周五郎自体、若い頃からいつか読もう読もうと思いつつ未だに読めていない。だから今作は(原作とはいえ)山本周五郎初体験ということにもなる。 物語の主人公は大工の若棟梁・茂次。彼は物語冒頭で大火事により両親を亡くす。自らの工務店を建て直すため奔走する茂次は、店の手伝いに幼馴染だった若い娘・りつを雇う。そしてこのりつが、先の大火事でやはり焼けてしまった福祉施設の孤児たち5人を、茂次の