和歌山県の太地町の入り江(コーヴ)で秘密裏に行われているイルカ漁を告発した、「不都合な真実」と「オーシャンズ11」が合わさったようなエコ・ドキュメンタリーである。クジラやイルカの保護団体であるOPS(海洋資源保護協会)が製作した、感情と理屈の両方に訴えかける、完成度の高いプロパガンダ映画で、手放しの共感や感動はできないが、オバマと駐米大使にイルカ保護を訴える手紙に、作品のサイトから署名させるだけの力はある。7月31日からニューヨークなど一部都市で公開中で、オープニングの週末にアートシアターに行ったが、メディアで絶賛されている割には、客の入りは半分ほどだった。 ただイルカ保護を訴えるだけでは、関心のない人は見向きもしないだろうが、エンターテイメントとしてもよく出来ている。60年代のテレビ番組「わんぱくフリッパー」に出演したイルカを捕獲・調教したリック・オバリーが作品のヒーローだ。彼は、自分の