■相手を操りたい心に注意 本書は、禅の精神に基づく「怒らない」ための本だ。著者は片づけ術にまつわるベストセラーもある禅宗の僧侶である。 確かに“怒り”というものはままならないものだ。つい先日も、腹を立てた男が市役所で火炎瓶を投げるという印象的な事件があったばかり。こうした怒りを抑えることができれば、さまざまな社会的コストも抑えられるかもしれない。 禅の教えとは「どんなマイナスもプラスに転じることができる」というものだという。怒りを抑えるとは「心ひとつ」で状況を変えるということ。それが本書の手法。具体的に伝えられるのは、「風に意識を向けてみてください」や「早起きをしてみる」といったアドバイスだ。 なんとたわいのない、と怒ってしまう人は読者失格。毒にも薬にもならないと感じる人もいるだろうが、それはそれで問題ない。宗教と自己啓発書とは、そういうものである。不要な人には不要、必要な人には必要なのだ