ふと思い出してずっと気掛かりだったことを書いてみる。私が中高生のときに住んでいた兵庫県では一部の地域における高校学区が「総合選抜」制度を導入していた。「総合選抜」の細かいルールは自治体によって異なるものの、一つの高校単位ではなく学区全体で合格者をたくさん決定したうえで、各高校の「水準」が均等になるようにその合格者を振り分ける制度のことである。東京都出身の方には学校群制度、日比谷高校のかつての「凋落」の由来というと通じやすいだろう。 この「総合選抜」制度について先行研究を探してみたものの、あまり多くはないようである。あるいは、そもそも学区とは何か、何のために存在するのかという教育行政学の理論的な課題になるため、実態としてどうであったかという問いはまだ十分には探索されていないようにみえる。私のかつての卑近な経験例では、当時神戸市内のすべての学区で単独選抜が行われていたのに対して、明石市、西宮市