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ブックマーク / shiika.sakura.ne.jp (20)

  • (水の奥処へ……) 斎藤 秀雄 « 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト

    (水の奥処へ……) 斎藤 秀雄 水の奥処へ多くの私が移ってゆく いつか私と呼ばれることになる諸断片 まだ私になっていない未私 奥処――何にとっての? いくらかは底へ沈み いくらかはこなごなにほどけて散ってしまうだろう……。 底――何にとっての? 水の多くの領土 水蒸気になりかけている水 氷になりかけている水 粘性をそなえた水 浮かんだり沈んだり混じったりできない 速度の線が水の領土を区別して抑え込んでいる 速度の線のみがあって上下はないのかもしれない 未私はなかばほどけた布のような断片 ほつれた織物、多くの繊維が織られたもの さまざまな繊維、ナイロンの糸、ガラスの糸、骨、リボ核酸 ゆるい織り目を水がとおる 繊維がゆるんだり緊ったりする ゆるんだ繊維が別の繊維とまた織物をなす ほどけた繊維はほとんどどこかへ消えどこかに沈殿する 断片はそれぞれが知覚である 或るひとつの断片は引用である 「骨の

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    hidex7777 2023/03/25
    「詩客」に、三詩型融合作品「(水の奥処へ……)」を掲載いたしました。 久しぶりに融合のものを書きました。お読みいただけると、嬉しいです。
  • 第7回詩歌トライアスロン鼎立部門受賞連載 宇宙コラーゲン 斎藤 秀雄 « 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト

    Ⅰ セルフガソリンスタンドの給 油ノズルまで、指先が、あと4 センチ、のところで、骨を探 さなければならない、あと2 センチとなるまでに、火星 用ゲーム機が埋め込まれた骨 を、 かの聖なるお 方の骨、もしくはかのやん ごとなきお方の骨、あるいは老 犬の骨、であるだろう…… Ⅱ あと3センチ、のところで、腫 瘍に阻まれてしまうだろう、マルウ ェアが生んだ腫 瘍によって、伸びると同時に伸ばす腫 瘍が、これは舌だろうかいやこれは指 だろう、指が、伸び る、 ノズルが伸びるということは ない、伸びた指が巻きつくというだけだ、ノ ズルを収める箱に、そのとき熱 の影は長い星に伸びるだろう…… Ⅲ 伸びる指はとっくに癒 合しているだろう、コ ラーゲンが例の箱をつ つむみたいに、なって、いるだろう、ノズ ルに届くことはないだろう、指 は乙女の壁の面積を測ることができな い、 はじめの石の乙女の、壁は、壁は

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    hidex7777 2022/12/18
    詩客での詩歌トライアスロンも最終回です。自由詩「宇宙コラーゲン」を掲載しております。お読みいただけるとうれしいです!
  • 第8回詩歌トライアスロン鼎立作品受賞連載 篭と宿営地 斎藤 秀雄 « 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト

    篭と宿営地             斎藤 秀雄 喪神のエレボスの手を雪片のか黒きまでに蝕む朝か エアダクト絶えず結露のしたたりて巫娼の腹を舐める冷光 霜の香のふと離陸せりはろばろと天球上を這う墨流し 日の冴える地平の木々はほの白い錫釉、国家は黒い牛乳 糖蜜が雪にしぶきてしずかなる、否、無音なる刵刑の匂い 巫医の首刎ねて恍惚たるまひる氷の下に蘭黒く咲く 贋祖国なれば幼き皇帝よ去勢の牛を乳柱とせん 手は谷にあったと気づく ももいろの膚を撫ぜて樹海へ向かう 宇宙卵果然と腐りひびわれをはらわたのなき鳥ども集る 目は闇に慣れて円天井のそこ重量のないプリズムが降る タグ: 斎藤秀雄, 短歌

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    hidex7777 2022/11/12
    「詩歌トライアスロン」連載、11月は短歌です。「篭と宿営地」を掲載しております。およみいただければうれしいです。
  • 第7回詩歌トライアスロン三詩型鼎立作品受賞連載 elf ring 斎藤 秀雄 « 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト

    elf ring                   斎藤秀雄 ※ 谷の 菌輪 月光の箪笥に殖ゆる 手足かな ※ 星を並べて 踏み渡る 旅の むらさきしめぢかな ※ 髪を絡めて 響く木よ 霊殿を焼く ※ 目病みの風や 弦を あらたな 空洞に ※ 玉門に 火天 ぬかづき 小火さわぎ ※ 覗けば 壺に 万劫かすむ 山別れ ※ 眉を剃る 日を撚りて つひに火を得ず ※ 匙の上にて 火山を 倒す 王の舌 ※ 森に沈みし 燃ゆる尾の 花を廻りて 蕊あからむ ※ 海に 焦がれて 気怠き うつぼほこりかな ※ タグ: 俳句, 斎藤秀雄

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    hidex7777 2022/10/01
    「詩歌トライアスロン」連載、10月は俳句です。「elf ring」を掲載しております。およみいただければうれしいです。
  • 第7回詩歌トライアスロン融合受賞連載 「海中火」のための素描 斎藤 秀雄 « 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト

    「海中火」のための素描 斎藤 秀雄 王子らはブリグ族を殺戮しはじめた おお、おうっ、牡牛。……牡牛が……牛が……しが……。いる、牡牛がいる! クシャトリヤたちのなかに牡牛がいて、いて……見る! 牡牛は見るものだ。目から見る。目から見るが翔ぶ。ミルクを見る、牛のミルクを見る、牛乳を……。 王子らは女たちの子宮の胎児さえも虐殺した 牛乳、乳……を見る。目から翔ぶ見るが、乳を見る、乳も見るものだ。乳が……。翔ばす、矢を。翔ぶ矢、弓兵から、から矢が、白くっっっっと、と、翔ぶ。白く弧を、鋭く矢……子宮胎児。あっ、飴色の……胎児……ほそながくのびる。 逃げた女の一人は胎児を百年のあいだ腿のなかに隠した 腿。ほそながい腿……に、しまう、胎児っっっを。ほそながい太ももに。ヒマヴァット〔雪に覆われた〕、ヒマラヤ〔雪の住処〕、ヒマラージャ〔雪の王〕。おお……寒い……雪山の王へ逃げた、女、っっっクシャトリヤが探

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    hidex7777 2022/09/17
    詩客の「詩歌トライアスロン」連載、9月は自由詩です。「『海中火』のための素描」を掲載しております。およみいただければうれしいです。
  • 第7回詩歌トライアスロン三詩型鼎立受賞連載 内在 斎藤 秀雄 « 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト

    第7回詩歌トライアスロン三詩型鼎立受賞連載 内在    斎藤 秀雄 白い内在 痛みの位置を滑らせて地平へめくれあがりゆく筒 生き死にのましろき闇へ歯を離す 知覚に開け閉めが昇りゆく 火を練れば空は縹の花畑不要となればはずす花首 糸のように砂が墜ちては法となる鏡面状のへりなき地盤 蛾を焼けばけむりは風の骨格を紡錘としてみずから紡ぐ 切り花の切られるまえのしばらくの笑う幼児のような充溢 花の死をたのしむ水に耳を漕ぐ水に死はひどくゆっくりとくる 心臓に顔を容れるとなつかしい怒りが欠けることなくありぬ 目に重る土の深さのおぼつかな杭のまわりの土減ってゆく 石突きに蝶を殺せばこめかみの雪のようなるものながらえる タグ: 斎藤秀雄, 短歌

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    hidex7777 2022/08/13
    「詩歌トライアスロン」連載、8月は短歌です。10首連作「内在」を掲載しております。およみいただければうれしいです。
  • 第7回詩歌トライアスロン三詩型鼎立連載 rhythm is not takt 斎藤 秀雄 « 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト

    rhythm is not takt    斎藤 秀雄 ※           ※           ※ 眼を渡す       甘き唱歌の       海を 裏声の         砕きし 鉄に焦がれて     血の凱風の       海の妣 丘去る楡に      水芭蕉         笑みて口なし ※           ※           ※ 日には        漉返し         向日葵 橋守                     なつかし 白鳥が死ぬ      塵を掬へば       日のなきがらへ 名の王国       稚児の抜殻       口ひらき ※           ※ 鳩放つ        婚姻の 方舟や        白客船の 兄抱くは       猛火に 秘色の鴉       折る歯 ※           ※ 古き罠待つ      空中都市の 手

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    hidex7777 2022/07/02
    「詩歌トライアスロン」連載、7月は俳句です。10句連作「rhythm is not takt」を掲載しております。およみいただければうれしいです。
  • 第7回詩歌トライアスロン三詩型鼎立連載 CUBE 斎藤 秀雄 « 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト

    第7回詩歌トライアスロン三詩型鼎立連載 CUBE 斎藤 秀雄 すべては球体にみ 敵キャラの細胞に 子宮的物質と説話 える立方体のしろ すでにある電流を 的物質の二種を水 い充溢空間におい 政治的痴愚性によ 溶性の膜で隔てて て鱗の音響的な間 って増幅し攻撃時 川や海のような流 隙から鮮やかなく のダメージを三割 れる水に浮かべる れないの液状の句 減少させる雷属性 ことで混合させる 点を無尽蔵に噴出 のスキルが感電ク 舞踏的バイナリー している蛇である リティカルである 兵器が毒筏である はじまりとおわり すべての方向から 薄桃色のはなびら をもつ単語という 白光と暗黒がつか の影を鳥が抜けで 肉体のふたつの末 みかかってくるな る瞬間の水彩絵具 端において小さな かで君はかろうじ で描かれた心やす 双頭の鳥がぼんや てじぶんの肉体が らぐ音楽のような りとみずからを引 目に見えているこ 

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    hidex7777 2022/06/18
    「詩客」の「詩歌トライアスロン」連載、6月は自由詩です。自由詩作品「CUBE」を掲載しております。およみいただければうれしいです。
  • パレルゴン    斎藤秀雄 « 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト

    パレルゴン    斎藤秀雄 胸を日が通るまひるの水煙草けむりは鳥のわたばねならで 太陽の屯する闇深くして木の音楽を鳴らす木の脈 わがみいる偽の鏡やなぐわしき桃の遊びを前線にせん むらさきを雨にまとえるいもうとよ虫が鳥狩る島にて眠れ 蛇口なる馬ゆ流るる硝子体むごき客土ぞ砂じめりせる 海底の塔の振り子の残像の顔や微笑の口のみ残し 柱なす声のみずかね恋えるわが耳の祠をあふるる腐肉 さやぐ毛のつね焦げ臭し腕生みの母は母なる水をわずらう 旅人を栞れば白きみずうみよ苦しみ深くしわ寄る火なれ 折る紙の谿おりてゆく兄の指夢の着岸なき海霧はも タグ: 斎藤秀雄

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    hidex7777 2022/05/14
    詩客の連載、5月は短歌です。10首連作「パレルゴン」を掲載しております。お読みいただければ嬉しいです。
  • DO DA DOO    斎藤 秀雄 « 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト

    DO DA DOO    斎藤 秀雄 ※ 桃の花 焼き尽くされて 凪を待つ舟 ※ 言ひさして ふぐりに 隠す 黒き印泥 ※ 酢の壜倒れ 白き指生え かの 暗緑湖 ※ 銀の港の 船の灯の 未練がましき 着衣の卵 ※ 薬籠や 夜毎に 纏ふ 贋古代裂 ※ 尼の 書窓の 黒ずむままに剃る 腋よ ※ 煙たき 花よ 網棚の 極楽鳥よ ※ 二度童子 埃を 泳ぎ 坐礁の頭 ※ 貝の 目の 都の 咎の 時の 受胎 ※ 蝶が透く 起源の壁に 幼き楕円 タグ: 斎藤秀雄

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    hidex7777 2022/04/02
    俳句10句「DO DA DOO」を、「詩客」に掲載しました。お読みいただけると嬉しいです!
  • 詩歌トライアスロン第7回三詩型鼎立受賞連載 逆ディスコ    斎藤秀雄 « 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト

    縦書は以下をクリックください。 3.png 詩歌トライアスロン第7回三詩型鼎立受賞連載 逆ディスコ 斎藤秀雄 ピープル、踊れ、逆に、 ひらたい水平線は生きもののように朝日が沈む、 (白いおおきな蛇を水の 穴につっこんでたくさんなまずを得るしくみ)、 島のどこにいても錯覚のように潮風を錯覚する、 人はしあわせな木、木々、木々 のあいだを流れるのは踊り、 ターンテーブルで Rhythim is Rhythimの”Strings of Life”が 逆回転する、フロアを回るキック、スネア、 うきうき異言はわくわく基体、 やわらかいつむじ風みたいな女はピンク、 おおきくピンクの髪の女が吹いてつくるしゃぼん玉 をおおきく、デリックは言った リュブリャナでだったか東京でだったか、 イビサみんなふざけすぎだめだよ、 の声をおおきく収めたしゃぼん玉、 ピンクのトップレスの産毛がひかる髪の女はうまく踊る、

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    hidex7777 2022/03/21
    自由詩「逆ディスコ」を、「詩客」に掲載いたしました。うきうき楽しんでいただければ、わくわく幸いです。
  • Quadrant    斎藤秀雄 « 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト

    Quadrant    斎藤秀雄 たまかぎるほのかに脂(あぶら)匂わせて日を離(さか)り来ぬ虹を殺しに 手におりる氷の鳥の吃水の深さに知りぬわが骨の嵩 ひとつぶの塩ぬちの火の構造のときに此岸にある車輪はも 数字譜のほとりやゆらぐともしびを数(すう)の鱗の魚もじりたり 耳ならぶ個室つめたし空調の風の吹きこむ耳らかわゆし 天空を無音のフォルテ激(たぎ)つらめ地に雪が黒したたらす午後 くれないに雲居汚れるデパートの機械に孵化のそぶりあるらん 春風は死なるや滝の心臓にはちみつ色の血を抜く穿刺(せんし) 木の幹にまつわる雨の組紐を木霊の爪の掻き削るべし たまきわるわがうちの洲(す)を恋いきたる鉄の蝶らに肉や与えん タグ: 斎藤秀雄

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    hidex7777 2022/02/20
    短歌10首連作「Quadrant」を「詩客」に掲載しました。 お読みいただければ嬉しいです。
  • 第7回詩歌トライアスロン三詩形鼎立受賞(連載1回) 電気まじなひ   斎藤秀雄 « 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト

    ■第7回詩歌トライアスロン三詩形鼎立受賞(連載1回) 電気まじなひ   斎藤秀雄 彗星の血かなむらさき胎児かな うつろ客天のくぼみに手を頒つ 椅子の尾の戦げり浜の死魚に腕 御師咲いて電気まじなひ口のなか 旅人よやぶれ木馬の舌なれや 櫨叫び兄のらせんの骨あらは 球場地下鳥人を巻く時計の根 老少年水の火花を嗅ぎながら 排卵を爪埋没の水銀鳥 永劫や沈む回転階段や タグ: 斎藤秀雄

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    hidex7777 2022/01/09
    新作俳句10句「電気まじなひ」を詩客に掲載しております。お読みいただければ嬉しいです。
  • 読む書物   斎藤秀雄 « 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト

    第8回詩歌トライアスロン・三詩型融合 次点作 読む書物   斎藤秀雄 紙の束ねられたものを  紙に手を    春まけて あなたは読むだろう。  のせて言葉を  紙に 読む手と        つぶやけば   手を置く 読む目のとよみが    洞深くまで   夕べかな いくつかのフローを   暗きたぶの木  町をでて 流れが流れてゆく    橋の灯を    町へ 同期しないで      あびて木屑は  入りたる スピードで       川下へ     春の川 半透明の断片たちは   流れつつ手を  風下の 透明で         反らせるあなた 森 ひろびろと       図書館の    ひろびろと 共有図書館のフロアが  窓にあまたの  巣箱かな しらしらと       花びらが    夕桜 書物たちが       張りついて死の 橋近ければ がちゃがちゃと     くちびるの色  しらしら

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    hidex7777 2021/12/27
    第7回詩歌トライアスロン(詩歌融合部門)で次点になった作品です。お読みいただけると、嬉しいです(画像の下の、横書きになっている部分は、等幅フォントでお願いします)。
  • 第7回詩歌トライアスロン・詩歌トライアスロン(三詩型鼎立)受賞作/自由詩「下=上」他   斎藤秀雄 « 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト

    【第7回詩歌トライアスロン・詩歌トライアスロン(三詩型鼎立)受賞作】 自由詩「下=上」他   斎藤秀雄 短歌 手の影が石を収める閉域のなにもみなぎるものなき力 あやとりの手はくりかえし祈れども赤い切り取り線にまみれる 曲線をたどる指先ひとところくらがりなれば濡れてあらわる 逆光の手は輪郭の囚われの罅に壊れぬひらたいさなぎ 死が垂らす糸がときおり耳にふれ耳の流れるせせらぎおもう ハトロンの紙の四隅は憂をわずかに帯びて身を丸めゆく 甘やかに匂うパン屋の貯蔵庫の秤に目玉載せたきものを いちまいの顔に深さのないことを顔をはなれる表情に知る 降る雪に口をひらけばうちがわを巨大なものに曝してしまう 耳元に息をめぐらせ合うことのささやきという川のような名 俳句 鋼なす月の廊下を紙の舟 スピノザが焼け跡に吸ふ扉かな 雁や火のまじなひに手の遊び物 深窓の蠟を育てて霧の果 倦むのみの檸檬抛れば刻の森 朽ちざ

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    hidex7777 2021/11/28
    詩歌トライアスロン受賞作です。自分が読者として読みたいものを書きました。お読みいただければ嬉しいです。
  • 葛――叙事詩   藤井貞和 « 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト

    葛――叙事詩   藤井貞和 ① (哀吾の生まれは)かげに、葛の葉のかげに、 哀吾は見るかげもない。もう時代が、 うつろいゆくいまの季と知れ。きみは、 まんがを愛し、朔太郎か折口かの落とし子で、 中学にさすらい、高校と、兵役としての大学に、 参考文献の戦争と、韻律の賭けとで疲れ果てて眠る。 やんれーのうたをうたえ、やんれー(河内音頭さ)、 百年花咲き襤褸をまとい、主人公終わるこの路上。 路上生活者、ことし五百五十五歳、きみの生涯、 地下生活者のうたをうたおう、花咲きのうた。 ② (物語詩の)ことばを喪う切れ切れのこころ、 ふるさとはひらさかにあった、遠いひらさか。 うたこそ流れ、やんれー。塩の山あいに節回しが、 聴かれた盆踊り。ねえさんの伝説によると、 散った日からの日めくりによって「うらひるがえる、 やんれー。哀吾よ、三歳のおまえが、 たずねて行こうとしたとき、数日のさかいを、 越えられな

  • 人魚軍上陸戦   斎藤秀雄 « 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト

    人魚軍上陸戦   斎藤秀雄 人魚の一個師団が沖に沸き立つ青空 うつ伏せのヴァイオリン焦げ遠景の木霊 鏡の花束抱へて砂に刺さる農夫 孔雀が哄ふ薄墨の島 筆おろしの童貞ら鱗に千切れ紡ぎ歌 左手にバクーニン右手にチーズかまぼこの人魚スナイパーだ いにしへの空中体操いきいき家族 視線が売られ尾びれが壊すマーケット 産卵人魚なめらかな産道をバスがくる 鉄の橋も肉の橋もやつれて水の誕生日 斎藤秀雄 1974年生まれ。第6回詩歌トライアスロン野村喜和夫個人賞。 論文に「形式の観察/観察の形式――批評理論のルーマン」(『誌』vol.2、2019年)。プネウマ句会主催。ネプリ「きりんねこ短歌合評会」発行人。 タグ: 斎藤秀雄

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    hidex7777 2020/10/10
    「詩客」に新作10句「人魚軍上陸戦」を寄せております。お読みいただけると嬉しいです。
  • 自由詩「名の灰」・短歌・俳句   斎藤秀雄 « 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト

    ◼️第6回 詩歌トライアスロン次点作品 自由詩「名の灰」・短歌・俳句   斎藤秀雄 ・自由詩「名の灰」 手をさし込む、 腕を、灰に、肘まで、 かつて恒星だった 灰、ふれる前に壊れる 灰、記憶 が閉じこめられ ていて そばをかすめる ならば消えてしまう 灰、だった 灰、の姿をもうとどめてはいない 灰、を解く鍵ははじめから 灰、であっただろうから 読め ない、 灰、の手紙の宛名の空欄にぼくの名を書こう、すでに 灰、でしかないぼくの名は 灰、だったきみとであうことはない すでに、灰、でしか ないぼく、の名は、 灰、だったきみと、 であうことはない 死んだもの でも、生まれくるもの でも、生きているもの でもなく、生まれること ができなかった ものどもの 灰、石炭、きみが棲みつく 灰、棒状の(その両端は弁になっている)、液状の 日付、かつてきみだった 灰、墓泥棒のように回転する 灰、であっておくれ

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    hidex7777 2020/07/25
    詩歌トライアスロンの「次点」の作品です。読んでね。
  • 自由詩時評 第81回 小島きみ子 « 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト

    死を想え、そして「生きよ」。 ラテン語のメメント・モリとは、「死を想え」という警句。東日における震災と原発事故からずっと、何でもないような貌をして生きているのだが、「いま・ここ」で、自分の現実をしっかり生きることによって、死を想え、そして「生きよ」。という新たな感受性を立ち上げることができたらいいと思う。子どものいじめや、虐待、国土と人体への夥しい危機的状況。今の日と日の社会に大切なことは「命」という視座に立つということに尽きると思う。 1968年に出版された吉隆明の『共同幻想論』が何故、当時の学生に熱狂的に支持されたのか。その時代を生きた人々は、団塊の世代と呼ばれた人々だった。彼らの魂に与えた影響は何だったのか。1968年という年は、5月10日に勃発したパリ5月革命に言及しなくてはならないだろう。(注:フランスのパリで行われたゼネストを主体とする民衆の反体制運動と、それに伴う政府

  • 日めくり詩歌 俳句 後藤貴子(2012/10/25) « 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト

    笑ウトモ泣クトモ無重力ノデブ   田中信克 少し前、レディー・ガガの体重増加が話題となったが、肥満という概念はいつ生まれたのか。 一説によると、肥満は古代ギリシャ時代以前から存在していたそうだ。しかし、平均寿命が短かった当時は、成人病等が問題にならなかったため、肥満は豊かさの象徴であり、誇るべきことだった。国の豊かさの指標として、国王の体重が毎年国民に公開されていたこともあったらしい。 しかし古代ギリシャ時代を迎えてから、人々の考えは一変した。「精神と肉体の調和」という思想が生まれ、肥満は軽蔑の対象となった。 その傾向が、現代社会まで続いていることは、衆目の一致するところである。一般的に、肥満は成人病の増加につながり、社会医療費が圧迫されることから、あまり歓迎されない。「デブ」が蔑称であることからもわかるように、ぽっちゃり型の人間は、自分の欲望に忠実な(悪く言えば負けてしまいがちな)傾向が

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