毎週日曜日更新のウェブマガジン。 俳句にまつわる諸々の事柄。 photo by Tenki SAIBARA 再説「俳句の文語」(後編) 文語・口語の混用は、歴史的に正当である 大野秋田 【承前】346号 再説「俳句の文語」(前編)完了「し」再説 ≫読む 237号「助動詞『し』の完了の用法」(以下「A稿」) 283号「文法外の文法」(以下「B稿」) 284号「俳句の文語」以下「C稿」) Ⅱ. 文語俳句にまじる口語 現代短歌の口語化はめざましく、老巧新鋭を問わず口語の歌、文語口語を混用した歌を詠んでいる。「私は文語で歌を詠むが、文語に口語を融合させることが、積年の課題となっている」(『短歌』平成20年8月号「特集 文語で詠むか口語で詠むか」中の日置俊次「文語と口語の融合について」)という歌人さえいる。 短歌においては口語の使用に何も制約はない。俳句で文語と口語を混用すると、短歌の世界では考え
毎週日曜日更新のウェブマガジン。 俳句にまつわる諸々の事柄。 photo by Tenki SAIBARA 【俳誌を読む】 「第二芸術論、第二芸術論とうるさく言ってしまいました」 『俳句』2019年6月号を読む 山口優夢 角川俳句6月号を読んだらいろいろ面白かったので、書き留めておきたいと思う。 ◎「大特集・推薦! 令和の新鋭」 39歳以下の俳人24人を紹介する若手俳人特集。1人が見開き1ページを使い、所属結社・顔写真・新作20句・略歴・結社の主宰の推薦のことば・旧作25句(主宰選)という構成からなっている。 24人は、俳句結社の主宰が1人ずつ「推薦」したものだ。24の結社の中には「船団」など結社と名乗っていないものも入っているようであるが、対馬康子による総論で「この二十四名は主宰から結社の若手代表として選ばれ、見開き写真付き大特集に作品発表をする貴重な機会を得た」とあるので、少なくとも編
毎週日曜日更新のウェブマガジン。 俳句にまつわる諸々の事柄。 photo by Tenki SAIBARA 少し氣になる事があるので、書き留めておくことにする。 九月十九日は近代に俳句の扉を開いた正岡子規の命日だつた。子規の死に際しては、高濱虚子が、 子規逝くや十七日の月明に と詠んでゐることは、多く知られてゐるだらう。子規が亡くなつた直後に詠まれてゐる。虚子の句は子規が月齡十七日の月明かりの中に逝つたことを傳へてゐる。立待である。 この年は九月十六日が陰暦八月十五日、十五夜に当たつてゐた。陰暦八月十七日の立待は九月十八日だったのだけれど、子規の死亡は十九日未明の一時、即ち空には十八日の夕方に東に昇った立待月があり、南南西へと傾き始める頃だったのだ。 少し調べてみたのだが、九月十九日は陰暦八月十七日だつたと記してゐるものが多いやうだ。どうもこれは間達ひで、九月十九日は陰暦八月十八日であった
毎週日曜日更新のウェブマガジン。 俳句にまつわる諸々の事柄。 photo by Tenki SAIBARA 藤後左右の初期作品以外の句をほとんど知らないので 全句集を勉強会に持ち込んで読んでみた 関悦史 藤後左右(とうご・さゆう)といえば広く知られているのは、以下の句あたりだろう。 夏山と熔岩(ラバ)の色とはわかれけり 萩の野は集まつてゆき山となる 噴火口近くて霧が霧雨が 曼珠沙華どこそこに咲き畦に咲き 大波のどんと打つなり松露掻き 舞ひの手や浪花をどりは前へ出る 滝を見るしまひに巌があがるなり 蟇(がま)の貌(かほ)チブス患者の夢にくる 横町をふさいで来るよ外套(オーバ)着て 外套や館の出口は横町に 室内を煖炉煙突大まがり 口々に都をどりはヨーイヤサー どれも大胆率直でこの上なく印象鮮明。物や景色が、物理的な量塊やパターンに瞬時に還元されてしまったような即物的な力強さがある。 ところがこ
毎週日曜日更新のウェブマガジン。 俳句にまつわる諸々の事柄。 photo by Tenki SAIBARA 島田牙城 七月二十八日から二十九日にかけて、本井英さんの肝煎になる第四回「こもろ・日盛俳句祭」に行つてきた。虚子が明治時代に行なつた日盛会なる俳三昧を現代に復活させ、三日間俳句漬にならうといふ句会形式の催しである。 句会のあと、初日に講演会、二日目にシンポジウムが行はれるのだが、今年のシンポジウムの主眼が、二十四節気の見直しを宣言してをられる日本気象協会から、このプロジェクト担当の金丸努さんにわざわざ来て頂いて二十四節気を考へようとするものだつたので、期待して会場へ向かつた。 十一年前に遡るのだが、現代俳句協会が立春や立夏などを冬や春へ追ひやるといふ無謀な俳句歳時記を編纂刊行したことに「俳句」誌上の「時評」で抗議したことがあり、その俳句歳時記の編集委員を務められた筑紫磐井さんもパネリ
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