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ブックマーク / yashio.hatenablog.com (11)

  • 差別語の三相を見つめて適切に距離を取る - やしお

    小説を商業出版することになり、これまで自分で書いて見直すだけだったのが、編集者・校正者による校正・校閲のプロセスを初めて体験した。その過程で差別語・差別表現に関しての指摘を受けて、改めて自分の中での判断について少し整理しておきたいと思った。 ある言葉が持つニュートラル、ネガティブ、ポジティブの三相を同時に見ないと、「その言葉をここで使うのが適切か」は判断ができないけれど、三相のうち一面しか見なかったり知らなかったりすると正確に判断ができなかったり、話が噛み合わなくなったりする。 指摘を受けた点1 「発狂」や「狂人」に指摘が入った。 江戸時代に実在したという届出「発狂扱ひ」に言及した箇所に指摘が入った時はどうしようかとも考えて、「精神状態の異常による行動という届け出」と言い換えた。 明治時代に精神障害者が「狂病者」と呼称され、「狂」に否定的・差別的な意味あいが付与されてきた。1970年代に「

    差別語の三相を見つめて適切に距離を取る - やしお
  • 新型コロナ 法律の枠組み - やしお

    今週末から2回目の緊急事態宣言が出されるというニュースを見たり、次の国会で特措法改正もするという話で、そもそも法律上どういう建付けになっているのかがちょっと気になっていた。政府と地方自治体その他でどういう役割分担になっていて、何ができて何ができないのか、権限と制約がどうなっているのかよく分かってなかった。 「ちゃんと仕事してない、けしからん!」と思っても、実は法律上の制約があってできないという話だとしたら、批判の矛先もお門違いだったりするかもしれない。一方で現状のルールを理解すれば「ルールメイカーとしてちゃんと法整備やれや」という批判ができるかもしれない。試合をちゃんと見るにはゲームのルールを知る必要がある。 そのあたりを書いてそうなということで竹中治堅『コロナ危機の政治』を買った。このエントリは書に依拠しつつ、後は法律の原文だったりニュース記事などで補足している。 コロナ危機の政治-

    新型コロナ 法律の枠組み - やしお
  • 安倍政権での「第二官僚」のメンバー - やしお

    安倍政権下では専門性や実効性より、内閣の存続(=支持率の維持)やメンツが重視されているように見える。 最近の新型コロナウイルス対応での全国一斉休校も、官邸サイドの主導で進め、文部科学省・大臣との事前調整もなかったと報道されている。さらに安倍首相自身が「直接、専門家の意見を聞いたものではない」と2020年3月2日参議院予算委で答えている。結果として対策が功を奏したとしても、そのことと意思決定の過程が正しかったかどうかは別問題で、結果の妥当性は過程の妥当性を正当化しない。 こうした専門性の軽視は「第二官僚」(官邸官僚)の形成という視点で捉えると理解しやすいのかもしれない。 野球や相撲でもプレイヤーの出身や経歴、実績、得意技を把握しておくと試合や取組を見るのが楽しくなるし、ニュースで名前を耳にしても「ああ、あの時の人ね」と分かるようになる。同じように第二官僚のプレイヤーもその辺を覚えておけば、別

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  • 2000万円が偶然ある - やしお

    老後に2千万だか3千万円が必要だという。もちろん退職金と個人年金はある前提で。とても簡単なことだ。 まず男に生まれること。これは大前提だ。女性が安定して高い給与を得られる社会になっていない。男が稼いで女は子育てと家事というモデルは国家の経済的な後退によってすでに終了しながら、その価値観だけはいびつに残存し、「結婚や出産で退職する可能性が高いから」と最初からキャリアを捨てさせ給与水準を抑え込まれる。 さらに逆算して「だから学業もそこそこでいい」という価値観も押し付けられる。医者の大学が入学試験で男に下駄をはかせて、「だって女はキャリア積めないでしょ」と公然と言い放つような社会なのだ。「女はコミュ力があるからその分点数さっ引かないとフェアじゃないから」と平気な顔で言う。コミュ力を高くしなきゃ生きていけない、周囲から「女は気を遣えて当然」という理不尽な期待を押し付けられ、それで能力を伸ばしたら今

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  • 文章を書いてお金を貰う体験 - やしお

    SUUMOタウンに寄稿した記事が公開された↓ ただの住宅地「新川崎」に住んでいたら、勝手に7年が経った - SUUMOタウン 自分が住んでいる川崎市や新川崎がどんなところで、どんな気持ちで住んでいるのか、といった話を書いた。誰かの参考になればいいなと思う一方で、「当にこれでちゃんと誰かの参考になるのだろうか」という不安もちょっとある。 お金をもらって文章を書くという体験は初めてだった。はてなダイアリーから始めてブログは15年弱続けているけれど、ずっと書くのも自分、編集も校正も校閲も自分という環境で、他者のチェックを受けて何かを書くのも初めてだった。 申し出があったのが12月上旬だった。はてなの編集部門からふいにメールが届いた。実は過去にも「書きませんか」というオファーがはてな以外から数回あったけれど、断っていた。ただ今回は、自分の住む町のことを書くという話で「それなら書けることがありそう

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    michiki_jp
    michiki_jp 2019/02/21
    岐阜の方もいつか。
  • 権力に追従する技術 - やしお

    この前テレビをつけたら国会中継(衆院予算委)をやっていた。旅行の出発当日で荷造りしながらつけっぱなしにしていたら、途中で自民党の萩生田光一議員が質問者として出てきた。 萩生田議員は、日会議と創成「日」のメンバーで、国粋主義者で、安倍首相の追従者の筆頭、という漠然とした知識はあったけれど、実際に喋っているのをきちんと見るのは初めてだった。 萩生田議員の名前は、西村康稔議員とセットで「安倍首相の熱心な追従者」として覚えていた。 清和会の中で次期大臣の座を狙う二人だが、西村議員が、西日豪雨の際に安倍首相や小野寺防衛相を含む自民党議員が宴会をしていた写真をTwitterにアップして大炎上させたり、総裁選で「石破の応援演説に参加すれば将来に差し障る」と神戸市議を恫喝したことがバレたりして、「失点」を重ねている中で、萩生田議員の方がリードしている、というようなニュースを去年に見て、この二人の名前

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  • 苦しめることで支持されるステージ - やしお

    政権が市民生活を苦しめる方向に進めながらむしろ支持を受けていくように見える、そうした不思議な光景がどうやって生じるんだろうみたいな気になる。 苦しい時は「良くなってほしい」より「これ以上悪くならないでほしい」という気持ちの方が強く働く。 変化は「良くなる可能性」と「悪くなる可能性」の両方を含む。 「悪くなる可能性」が含まれるため苦しい時は変化を選択できない。現状維持が悪化をもたらす確度が高くても、不安感から変化を選択できない。 仮にそんな理屈が働いているなら、ある程度持続した政権にとって、それをさらに維持するには、 苦しい人たちは苦しい状態に留めておく 苦しくない人たちは不満を溜めないよう優遇する とするのが有効となって、企業優遇・労働者冷遇は合理的な戦略になっているのかもしれない。 変化を受け入れるには経済的・精神的なある程度の余裕が必要になる。 突然「アパートの設備が古くなったので引っ

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    michiki_jp
    michiki_jp 2018/07/14
    恐怖の指摘。合ってそうでホント怖い
  • 喫煙者と非喫煙者の間にある認識のずれ - やしお

    喫煙者の友人とこの前海外旅行に行ってきて(自分は非喫煙者)、こっちはタバコのことを酒と同じような嗜好品だと思っているけど、相手はトイレと同じような生理現象として感じられている、そういう感覚のズレがあるんじゃないか、という気がした。こっちは嗜好品だと思っているから「我慢すればいいでしょ」と心の底では思っているのが言動や態度に出てくるし、相手は生理現象だと感じているから「しょうがないじゃないか」という態度になる、このズレによって衝突が起きる。 「喫煙者はタバコが切れるとイライラしたり落ち着かないらしい」という知識はあるし、そのつもりで配慮してきたつもりだった。しかし根的な認識の部分で最後に「そうは言っても嗜好品でしょ」と思い込んでいるからズレが生じる。 旅行の最後の空港でちょっと怒ってしまった。 手荷物検査に入る前に、「もしかしたら中はもう喫煙所ないんじゃない?」と言ったら「えー」という。構

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  • 受信負担の社会で起こるあれこれ - やしお

    コミュニケーションで「相手の意図を汲み取る」ことが重視される社会ではどのような現象が見られるのか。 コミュニケーションのスタイル:発信負担と受信負担 情報を発信者から受信者へ伝達させる場合に、受信が成功するには情報の「形成」が必要になると考えることにする。情報の形成は発信者と受信者の双方で行われる。 発信者と受信者のどちらがより多く形成を負担するかというバランスがある。例えば「今ゆで卵をべてるから台所にある塩取ってくれない?」と受信者に丁寧に意図を伝える場合が発信負担であり、「ん」とだけ言われて(今あの人はゆで卵をべているから塩が必要なのかもしれない、「ん」は塩を私に取ってこいという意味かもしれない、塩はたしか台所にあったはず)と受信者が相手の意図を汲み取って塩を持ってくるような場合が受信負担となる。形成は、情報を付け足すことに限らず、不要な情報を捨てること、情報を整理すること、推論す

    受信負担の社会で起こるあれこれ - やしお
  • 安倍首相が「総理と総裁は違う」と言う位置付け - やしお

    この前、予算委員会の動画を見ていたら安倍首相が「私は総理としてここに立っているから、自民党の話をする立場にない」とたびたび答えていて不安になった。「それを自分が言うことの意味」を当にわかっていないのではないかという気がしてどうしても(大丈夫なの)という気持ちになる。 具体的には2/14の衆院予算委の午前、立憲民主党の枝野代表の憲法改正に関する質問での安倍首相の以下の答弁。 19:08〜 憲法についてですね、まさに、今ここに私が立っておりますのは、内閣総理大臣として立っておりますので、我が党の中における議論についてここで申し上げる立場にはないわけでございますが、しかし、あえてお答えいたしますと…… 24:30〜 まずですね、まず、私は再々述べておりますように、まあここはあの、総理大臣として立っておりますから、この予算についてあるいは法案についてあるいは条約について答弁する義務は負っているわ

    安倍首相が「総理と総裁は違う」と言う位置付け - やしお
    michiki_jp
    michiki_jp 2018/02/26
    “国会議員は職業上最低限必要な技術として論理構築能力や言表能力をきちんと持っていてほしいという、ささやかな気持ちしかない。”
  • 会社のなかの筋を知る - やしお

    それなりに人数の多い会社の中では、誰に話を通すだの何だのといったことがある。この前、入社3年目の若い同僚に 「それは話の持っていき先が違うよ」 「でも○○さんからそうしろって聞いて」 「それは○○さんがわかってないよ」 「そんなこと言われたってわかんないですよ」 と不愉快そうに言われて、それはそうだと思った。 どこにどう筋が通っているかというのは、背後に理屈がある。その理屈を見せずに結論だけ言っても混乱させるだけだ。それでもう少しきちんと説明したい。 その前に自分で整理しておこうと思った。 建前と実態 まず最初に考え方の枠組みについて。考える方向には建前と実態がある、とみなす。 建前 : 条件から出発して、順番に考えたら「こうなる」という理屈 実態 : 現実にこう運用されている、という観察結果 建前=演繹的=セオレティカル、実態=帰納的=プラクティカルという感じで、逆方向のアプローチだ。こ

    会社のなかの筋を知る - やしお
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