「本居宣長六十一歳自画自賛像」(出典:Wikipedia) 日本人は「和」を乱さない、議論を好まない人々だと言われる。実際、議論に苦手意識を持ち、他人の議論を見るのもストレスだという方も多いのではないか。 しかし、本当に日本人は議論や論争が嫌いなのだろうか?比較文学者で『1日10分の哲学』(新潮新書)の著者・大嶋仁さんは、そう結論付けてしまっては早とちりだという。もともとは議論が嫌いではなかったのに、明治時代後半に議論なんて「しても始まらない」という風潮が蔓延してしまったとも語る。 いったい何があったのか。以下、同書から見てみよう(『1日10分の哲学』を引用・再構成しました)。 *** 日本人は議論のかわりに和歌を詠む民族だと言った「本居宣長」 日本人は議論が苦手であるにちがいない。議論好きのインド人を相手にするのは疲れる、とある商社マンから聞いたことがある。中近東に派遣するなら、口の達者