がん細胞だけを破壊する特殊なウイルスを使った治療で、食道がん患者7人のうち5人で腫瘍が消えるなどの効果があったとする成果を、岡山大学のチームがまとめた。 28日から東京都内で開かれる日本遺伝子細胞治療学会で発表する。 ウイルスは正常な細胞では増殖しないため副作用も起こりにくいとし、2020年頃の薬事承認を目指す。 このウイルスは、岡山大の藤原 俊義 ( としよし ) 教授(消化器外科)らのチームが02年、風邪の原因となるアデノウイルスの遺伝子を操作して開発した。がん細胞に感染して増殖し、細胞を破壊するが、正常な細胞に感染した場合は自然に消える。 また、ウイルスには、がん細胞が放射線などで傷ついた自らのDNAを修復する機能を阻害し、細胞を死滅させる働きもある。放射線治療の効果を高めることも期待できるという。