「現代最高の知性が明かす思考の極意」。大げさにも聞こえるキャッチコピーに引かれた読者もいるかもしれない。フランスの歴史人口学者で『帝国以後──アメリカ・システムの崩壊』(以下、帝国以後)など世界的ベストセラー作家でもあるエマニュエル・トッド。 家族構成や出生率、死亡率といった人口にかかわる統計などから、歴史的変化を分析し、未来を「予言」してきた。冒頭の謳い文句は、彼の日本での最新作『エマニュエル・トッドの思考地図(以下、思考地図)』(筑摩書房)の帯に書かれている。 この混沌極まる世界で、どうすれば予測できない未来と向き合うことができるのか。次々と「予言」を的中させたトッドの思考方法について初めて本人が語った同著は、多くのビジネスパーソンの支持を得てAmazonの「現代思想」のカテゴリーで1位にもなった。 今回は、この『思考地図』の翻訳を担当したパリ在住の研究者でトッドの親しい友人でもある大