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書評に関するobsvのブックマーク (360)

  • 活版印刷以来の最大の革命を引き起こした、現代のインターネットともいえる「電信」の誕生──『ヴィクトリア朝時代のインターネット』 - 基本読書

    ヴィクトリア朝時代のインターネット (ハヤカワ文庫NF) 作者:トム スタンデージ早川書房Amazon約200年前の19世紀。科学は未発達で、現在は一般的なものが存在しない時代だ。抗生物質もないし(抗生物質は20世紀)、ライト兄弟が飛行を成功させたのも1903年のこと。しかしヴィクトリア朝時代には「インターネット」はあったのだ──というのが、書『ヴィクトリア朝時代のインターネット』が主張するところである。 いくらなんでもヴィクトリア朝時代(一般的に、ヴィクトリア朝は、ヴィクトリア女王がイギリスを統治していた1837年から1901年の期間を指す)にインターネットはないでしょと思うだろうし、実際現在と同じようなインターネットは存在しない。しかし19世紀には「電信」が存在し、それは現在のインターネットと同じものとして機能していた。都市間、国家間にケーブルを張り巡らせることで、今のインターネット

    活版印刷以来の最大の革命を引き起こした、現代のインターネットともいえる「電信」の誕生──『ヴィクトリア朝時代のインターネット』 - 基本読書
  • ナチスは「良いこと」もしたのか?をガチ検証した結果。紀伊國屋じんぶん大賞に選ばれた理由を考察した | ダ・ヴィンチWeb

    『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』(小野寺拓也、田野大輔/岩波書店) 2023年12月15日に発表された「紀伊國屋じんぶん大賞2024 読者と選ぶ人文書ベスト30」。大賞に選ばれたのは『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』(小野寺拓也、田野大輔/岩波書店)だった。 読者の選ぶ「2023年のベストの人文書」が、もう100年近くも前になるナチス・ドイツの政策を検証した……というのは、いささか奇妙に感じる人もいるだろう。だが実際に読んでみると、このは「いま読むことに大きな意味がある」だと感じたし、「人文書の矜持と歴史の専門家の責任を示した」にも感じられた。 そもそも書が執筆された背景は、インターネット上で「ナチスは良いこともした」と声高に主張する人が増えていたことにある。 著者のひとりの田野大輔氏がそうしたTwitter(現・X)の投稿の一つに、「30年くらいナチスを研究し

    ナチスは「良いこと」もしたのか?をガチ検証した結果。紀伊國屋じんぶん大賞に選ばれた理由を考察した | ダ・ヴィンチWeb
    obsv
    obsv 2024/01/27
    この書評からすると著者にはナチスの全てが悪でなくてはならないというバイアスが強く働いていそうだ。どんな巨悪でも一切善行をなさないことは無理だろう。善悪二元論に還元するのは却って危険と思うが。
  • 欧米で話題沸騰の気候変動にまつわるすべての領域を描き出そうとした野心的な気候変動SF──『未来省』 - 基本読書

    未来省(The Ministry for the Future) 作者:キム・スタンリー・ロビンスン,坂村健パーソナルメディアAmazonこの『未来省』は、『レッド・マーズ』、『グリーン・マーズ』、『ブルー・マーズ』の三作からなる火星三部作や『2312 太陽系動乱』などで知られるキム・スタンリー・ロビンソンが2020年に刊行した気候変動SF長篇だ。キム・スタンリー・ロビンソンは「細部へのこだわりと、世界や社会、人類といった大きなものをまるごと描こうとするヴィジョン」のどちらもを持ち合わせる稀有な作家だが、作は”気候変動vs人類”という中心テーマに対して、その才能をいかんなく発揮している。 最初に概要と総評を紹介する 近年実際に災害が増えていることもあって、気候変動をテーマにした小説(Climate Fiction)は欧米で伸びているジャンルだが、作は数あるcli-fiの中でもとりわけ大

    欧米で話題沸騰の気候変動にまつわるすべての領域を描き出そうとした野心的な気候変動SF──『未来省』 - 基本読書
  • ピケティ『資本とイデオロギー』読書ガイド - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    目次: 目次: はじめに 1. 『資とイデオロギー』の概略 1.1 .『21世紀の資』のあらすじ: 1.2. 『資とイデオロギー』の全体的な話 1.3. 『資とイデオロギー』のあらすじ 第I~II部:歴史上の格差レジーム/奴隷社会&植民地 第III部:20世紀の大転換 第IV部(その1):政治的対立の次元再考——問題編 第IV部(その2):政治的対立の次元再考——対策案 (第17章) 第IV部(その3):政治的対立の次元再考——対策案 (その他随所) 2. 通読する必要はないと思う 3. タイプ別読み方 『21世紀の資』の続きとして読みたい人、つまり経済格差とその対応を知りたい人は…… 経済格差への対応を知りたい人は…… 世界各地の格差の変動プロセスの比較に興味ある人は…… 4. 最後に はじめに このたび、ついについに難産の子、ピケティ『資とイデオロギー』が出ました。 資

    ピケティ『資本とイデオロギー』読書ガイド - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    obsv
    obsv 2023/09/18
    ガイドまで用意とかありがたい。/ “世界共通の帳簿を作り世界一致の所得/資本課税を!”これって実質的に世界統一政府を作れって意味であり、まず無理そう。出来たとしても一国民からはすごく遠い政府が出来そう。
  • 地球温暖化が進んだ時、我々はどこに逃げるべきなのか?──『気候崩壊後の人類大移動』 - 基本読書

    気候崩壊後の人類大移動 作者:ガイア・ヴィンス河出書房新社Amazon暑い日が続く今日この頃。日国内は避暑で逃げようにも北海道ですら歴史を更新する猛暑が続き、どこに行けばいいのかと途方にくれてしまいそうになる。しかも、地球温暖化は続くのだ。このままだと、国外に居住地を移す人も増えてくるだろう。 書『気候崩壊後の人類大移動』は、そうした「人類大移動」の未来について書かれた一冊だ。我々はいつ、どこで、誰が移住を強いられるのか。我々はどこに行くべきなのか。また、そんなにたくさんの人類が移動することに現行のシステムはとても耐えられそうにないが、では今後世界はシステム・運用方法をどうかえていけばいいのだろうか。書は国境問題や移民政策、糧問題にジオエンジニアリングに都市計画まで、気候変動をとっかかりに無数のジャンルを網羅し検証していく科学ノンフィクションで、暑さに参ってしまっている人にオススメ

    地球温暖化が進んだ時、我々はどこに逃げるべきなのか?──『気候崩壊後の人類大移動』 - 基本読書
    obsv
    obsv 2023/08/27
    興味深いが、移住を推奨したとして、高緯度帯はほぼ北半球にしか存在せず面積も狭いため奪い合いになるだろう。あまり良い解決策とは思えない。実質的に気候制御や二酸化炭素回収しか手の打ちようがなさそうだが。
  • もし、ヒトラーが濡れた子犬を拾っていたら。 - Something Orange

    話題の一冊『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』を読んでいる。 検証 ナチスは「良いこと」もしたのか? (岩波ブックレット) 作者:小野寺 拓也,田野 大輔 岩波書店 Amazon 「ナチスは「良いこと」もした」という俗論を専門家の視点から批判的に検証したで、とても面白いし、勉強になる。 書では「ナチスは「良いこと」もした」という一種のまぜっかえし的な理屈が取り上げられ、それが歴史学的には端的に「まちがい」といってしまえることを詳細に検証していく。 そうはいってもナチスも「良いこと」もしているのではないかと漠然と考えているような人にとっては刺激的な内容といえるだろう。 歴史一般やいわゆる「歴史修正主義(リヴィジョニズム)」について知りたい方には文句なしにオススメできる一冊だ。 もっとも、「文句なし」というのは少し過言であるかもしれない。 ぼくはナチスやドイツ史について何ら専門的な知

    もし、ヒトラーが濡れた子犬を拾っていたら。 - Something Orange
    obsv
    obsv 2023/07/25
    同意。ナチスはホロコーストという人類史上の禁忌に触れた点で絶対悪とされている。総合評価で悪とされているのではない。他に良い事をやっていたやっていなかったという総合評価の議論にそもそも乗るべきではない。
  • 科学はいまだに法律に導入されない 『人を動かすルールをつくる──行動法学の冒険』 - HONZ

    作者: ベンヤミン・ファン・ロイ,アダム・ファイン 出版社: みすず書房 発売日: 2023/5/18 わたしたちは法律や条例などのルールに囲まれて生きている。そして、それらの多くがわたしたちを深刻な危害から守ってくれていることは間違いない。だがその一方で、何らかの理由でルールがうまく機能していない場合も少なくない。ほとんどのドライバーが守っていない、ある道路での速度制限。日々新たに報じられる、企業のコンプライアンス違反。では、そうした一部のルールがあまり守られないのはどうしてだろうか。 書はその問題に真正面から挑んだものである。ただし、その挑み方は従来のものとは異なる。書は、「どうして人はルールを守らないのか」と問うたりはしない。そうではなく、人に一定の行動傾向があることを前提として、「どうして法的ルールは人の行動を改善できないのか」と考えるのである。 わたしたちには一定の行動パター

    科学はいまだに法律に導入されない 『人を動かすルールをつくる──行動法学の冒険』 - HONZ
    obsv
    obsv 2023/06/28
    経済はやや先行しているものの、法律や政治など社会科学分野の大半は、生物としての人間を考慮せずに作られているように思える。人間の性質を前提とした社会システムを作ることが求められているのではないか?
  • 書評 「広がる! 進化心理学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    広がる! 進化心理学 朝倉書店Amazon 進化心理学は基的にヒトの行動や心理を進化的な視点から理解しようとする試みであり,極めて学際的な営みになる.書はそのような進化心理学の周辺分野の専門家たち(その多くは同時に進化心理学者でもある)による進化心理学が周辺分野に与えてきた影響,あるいはその親和性を解説する一冊になる.編者は小田亮と大坪庸介. 冒頭の「まえがき」は「なぜ書店の『心理学』の棚には『進化心理学』というコーナーがないのか」という面白い掴みから始まっている.基的に新しい分野でまだ認知度がなく,そういう書名のが少ないからだと思われるが,ここでは,進化心理学は他の○○心理学と異なり,○○にあたる内容を研究するのではなく,進化はその視座を表しているからだと説明されている.つまり進化心理学は認知科学,社会心理学,発達心理学のような内容による区分に横串を通すような分野であり,そのよう

    書評 「広がる! 進化心理学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  • 東島雅昌『民主主義を装う権威主義』 - 西東京日記 IN はてな

    「民主主義」の反対となる政治体制というと「独裁」が思い浮かびますが、近年の世界では金正恩の北朝鮮のようなわかりやすい「独裁」は少なくなっています。 多くの国で選挙が行われており、一応、政権交代の可能性があるかのように思えますが、実際は政権交代の可能性はほぼ潰されているような体制の国がけっこうあります。 独裁からこういった選挙があるけど政権交代の可能性がほぼない国までひっくるめて政治学では「権威主義」、「権威主義体制」と言い、近年では今井真士『権威主義体制と政治制度』、エリカ・フランツ『権威主義』のように権威主義を分析したや、川中豪『競争と秩序』のように民主主義と権威主義の狭間で動くような国(東南アジアの国々)を分析したも出ています。 こうした中で書は権威主義体制の戦略、特に権威主義体制における選挙の利用について分析したになります。 権威主義体制に選挙は必要ないような気もしますが、先

    東島雅昌『民主主義を装う権威主義』 - 西東京日記 IN はてな
  • シリコンバレーに集まる天才たちに共通する「自閉症傾向」。成功の影にあるトレードオフとは?

    日々刻々 橘玲 移り変わりの激しい世界の中でつい見逃しそうになる事件や経済、金融、社会問題などについて、作家・橘玲氏が鋭くメスを入れる。 バックナンバー一覧 最新の世界富豪ランキングでは、イーロン・マスクがテスラ株の下落で首位を陥落し、ルイ・ヴィトンなどのブランド帝国を築き上げたLVMH会長兼CEOのベルナール・アルノーが2110億ドル(約27兆円)でトップに立った。それでも個人資産10兆円を超える大富豪の顔ぶれを見れば、マスクをはじめ、ジェフ・ベゾス(Amazon)、ラリー・エリソン(Oracle)、ビル・ゲイツ(Microsoft)、ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン(Google)、マーク・ザッカーバーグ(Facebook)など常連の顔ぶれは変わらない。彼らに共通するのは、極めて高い論理的・数学的知能を活かしてハイテク系ベンチャーを創業し、大きな成功を収めたことだ。 しかしその一方で、

    シリコンバレーに集まる天才たちに共通する「自閉症傾向」。成功の影にあるトレードオフとは?
  • インカ帝国「が」スペインを侵略した架空の歴史を描く、読む『シヴィライゼーション』とでも言うべき改変歴史長篇──『文明交錯』 - 基本読書

    文明交錯 (海外文学セレクション) 作者:ローラン・ビネ東京創元社Amazonこの『文明交錯』は、スペインがインカ帝国を征服した史実を反転させ、逆にインカ帝国がスペインを征服していたら世界はどう変わっていったのかを描き出す歴史改変長篇だ。著者は『HHhH――1942年』などで知られるローラン・ビネ。 『HHhH』はメタ歴史小説とでもいうべき傑作で、作もその設定のキャッチーさからかなり期待して読み始めたが、期待以上のおもしろさだ。普通に考えたら資源にも装備にも劣るインカ帝国がスペインを征服できるはずはないのだが、何が起こったらそれが起こり得るのか? を追求していく手付きはまるでノンフィクションを読んでいるかのよう。そして、征服の過程、また征服を終えた後、反乱を抑え周辺諸国と渡り合っていくために内政をいちから整えていく様はまるでゲーム『シヴィライゼーション』をプレイしているかのようなスピード

    インカ帝国「が」スペインを侵略した架空の歴史を描く、読む『シヴィライゼーション』とでも言うべき改変歴史長篇──『文明交錯』 - 基本読書
  • 鶴岡路人『欧州戦争としてのウクライナ侵攻』 - 西東京日記 IN はてな

    去年2月にロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、多くの専門家が状況の変化に伴走する形でテレビや新聞、雑誌などのメディアでこの戦争に関する分析を提供してきましたが、著者もそうした専門家の一人です。 もともと著者は欧州現代政治や国際安全保障を専門としており、『EU離脱』(ちくま新書)などの著作がありますが、今作もタイトルに「欧州戦争としての」とあるように、「ヨーロッパ」という切り口からこの戦争を分析しています。 国際情報サイトの「フォーサイト」に書かれた文章が中心ですが、内容が細切れだったり重複してしまっている感じはなく、一貫した内容のある分析が読むことができます。 目次は以下の通り。 第一章 ウクライナ侵攻の衝撃 第二章 ウクライナ侵攻の変容 第三章 結束するNATO 第四章 米欧関係のジレンマ 第五章 戦争のゆくえと日に突きつけるもの 今回の戦争ロシアウクライナの間の戦争ですが、

    鶴岡路人『欧州戦争としてのウクライナ侵攻』 - 西東京日記 IN はてな
  • 物理術師から幻術師まで、大きく異る方向の天才魔法使いが6人集められ、最終的に排除する1人を決める、ファンタジー×SF長篇──『アトラス6』 - 基本読書

    アトラス6 上 (ハヤカワ文庫FT) 作者:オリヴィー ブレイク早川書房Amazonこの『アトラス6』は著者オリヴィー・ブレイクがロースクール在学中にセルフパブリッシングで刊行したのち、爆発的に人気が出てAmazonPrimeでのドラマ化も決定している話題のファンタジー長篇だ。記事名にも入れたが、他者の行動に関与するエンパスに他者の思考を読み取るテレパス、世界の物理的事象に干渉する物理術師など様々な「特殊な力」を行使する、凄腕魔法使いたちの物語となる。 世界中の貴重な蔵書を守護する秘密の組織〈アレクサンドリアン協会〉、そこでは10年に1度、6人の在野の魔法使いらが選出され、うち5人だけが入会を果たし、富や名声、協会しか持っていない資料へのアクセスが許される──。と、魅力的な冒頭のあらすじに加えて表紙イラスト&装丁が最高だったので期待して読み始めたのだけど、中身はその上がりきったハードルにち

    物理術師から幻術師まで、大きく異る方向の天才魔法使いが6人集められ、最終的に排除する1人を決める、ファンタジー×SF長篇──『アトラス6』 - 基本読書
  • 『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』という本を刊行します。 - 基本読書

    「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門 作者:冬木 糸一ダイヤモンド社Amazonこのブログ「基読書」を書いている冬木糸一です。3月1日に、『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』というをダイヤモンド社から刊行することになったので、その告知文を下記につらつらと書いていきます。このブログの読者にはまず楽しんでもらえる内容なので、ぜひ告知分だけでも読んでいってください。 の外観。440ページ超えなのでけっこう分厚い SF超入門とは何なのか 「SF超入門」と銘打っているわけなので、当然SFに入門するためのになる。歴史や作家など入門といっても無数の入り口があるわけだけれども、今回はいわゆるSF小説のガイド的な内容になっている。ただ、「SF初心者はこれを読め!」といって初心者向けを語る、ガイド記事を拡張した内容とは異なるアプローチでを選んでいる。 たとえば

    『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』という本を刊行します。 - 基本読書
  • 読書メモ:『現代思想入門』 - 道徳的動物日記

    現代思想入門 (講談社現代新書) 作者:千葉雅也 講談社 Amazon 大学生から大学院一年生の頃までのわたしはいっちょまえに「哲学」や「思想」に対する興味を抱いており、哲学書そのものにチャレンジすることはほとんどなかったが、様々な入門書は読み漁っていた。現代思想については難波江和英と内田樹による『現代思想のパフォーマンス』でなされていた紹介をもっとも印象深く覚えており、次点が内田樹の『寝ながら学べる構造主義』や竹田青嗣の『現代思想の冒険』。個別の思想家についてはちくま新書の『〜入門』やNHK出版の『シリーズ 哲学のエッセンス』を読んでいたが、とくに後者についてはあれだけ何冊も読んだのに一ミリも記憶が残っていない。そして、修士論文を書くために英語圏の倫理学や政治哲学のをメインに読むようになってからは現代思想に対する興味はすっかり薄れて、以降ほとんど触れなくなってしまった。 千葉雅也による

    読書メモ:『現代思想入門』 - 道徳的動物日記
  • 2022年のおもしろかった本などを振り返る - 基本読書

    ぼんやりしてたら2022年が終わってしまったが、振り返らないよりはマシだと信じて今からおもしろかったなど振り返ろう。今年もアニメ、小説、ノンフィクション、ゲーム……あらゆる媒体でおもしろい作品がいっぱいあった。そのすべてを取り上げることは不可能だけれど、この記事で思うがままに触れていきたい。 小説など(主にSF) プロトコル・オブ・ヒューマニティ 作者:長谷 敏司早川書房Amazon読んだ小説の大半はSFなのでSFの話をするが、最初に触れておきたいのは、最先端テクノロジーとその倫理・社会的課題を描き出してきた長谷敏司が、人工知能✗ダンスをテーマに描き出した長篇『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』だ。事故によって右足を切断することになったプロのダンサーが、AI搭載の義足を使い、AIと人間の新しい”共生のかたち”を模索していく。著者自身の介護体験も織り込まれた、最先端の壮絶な物語。今年の小説

    2022年のおもしろかった本などを振り返る - 基本読書
  • 市場原理ってなんですか?(ウェンディ・ブラウン『いかにして民主主義は失われていくのか』読書メモ) - 清く正しく小賢しく

    今回紹介するのはこちら。 ウェンディ・ブラウン『いかにして民主主義は失われていくのか 新自由主義の見えざる攻撃』 いかにして民主主義は失われていくのか――新自由主義の見えざる攻撃 作者:ウェンディ・ブラウン みすず書房 Amazon 書の存在は前から知っていたが、前回紹介した論文でヒースが新自由主義批判の例として紹介していたため、重い腰を上げて読んでみることにした。 kozakashiku.hatenablog.com と言っても、もともと苦手なタイプのなので、メモをとりながら読めたのは第一部(1~3章)と終章だけで、具体的な事例を扱っている第二部についてはほとんど論評できない*1。読んだ部分にしても、正直半分くらいは何を言ってるのかよく分からなかった。が、ここではとりあえず力の限り頑張ってみたい。 新自由主義は「お金」の問題ではない 競争=市場原理? 競争それ自体の評価 感想 新自

    市場原理ってなんですか?(ウェンディ・ブラウン『いかにして民主主義は失われていくのか』読書メモ) - 清く正しく小賢しく
    obsv
    obsv 2022/12/22
    “要するに競争というものの捉え方が大雑把で曖昧なのだ。きちんとした新自由主義批判を行いたいなら、競争という概念の内実をもっときちんと検討すべきではないだろうか。”
  • 『ザ・パターン・シーカー──自閉症がいかに人類の発明を促したか』 if-and-then思考とハイパー・システマイザー - HONZ

    エジソンやビル・ゲイツもそうなのだという。あるいは、ピアニストのグレン・グールドや、バスケットボール選手のコービー・ブライアントも。彼らはみな「パターン・シーカー」、すなわちパターン探しの達人であると考えられる。そして、そのようなパターン・シーカーこそが人類の偉大な発明を導いてきたのだと書は主張する。 書の著者は、イギリスの著名な心理学者サイモン・バロン=コーエンである。彼が「パターン・シーカーこそが人類の偉大な発明を導いてきた」と言うとき、その意味するところはふたつある。ひとつは、上で述べたように、偉大な発明家の多くが卓越したパターン・シーカーであること。そしてもうひとつは、ヒトが身につけたパターン探しの能力こそが、ヒトの進化史において偉大な発明を導いてきたということである。 ならば、そのパターン・シーカーという特性はどのようなものだろうか。それは、簡単に言えば、一見しただけでは明ら

    『ザ・パターン・シーカー──自閉症がいかに人類の発明を促したか』 if-and-then思考とハイパー・システマイザー - HONZ
  • 2022年読んで良かった「ベストブック」10冊 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

    2022年度に読んで面白かった個人的ベストを発表します 早いものでもう年末です。今年度は「働き方改革」の人類史というを執筆&出版したのですが、そのために読書の種類がやや偏ってる感が否めません。とはいえ、「これはすごい」というはいくつもありましたので、ご紹介します。 ちなみに私が今年読んだということなので、2022年以前に出版されたも数多く含みます。その点あらかじめご了承ください。 1.『新疆ウイグル自治区』 中公新書 熊倉 潤 著 リンク 近年、政治だけでなく経済的にもウイグル問題が注目されるようになっています。中国当局によるウイグル人のジェノサイド、そして思想的改造に対し、抗議の意味を込めて政治的なアクションを取る場合もあれば、ウイグルに工場を持つ企業に対するボイコットや取引禁止をする場合もあります。特に欧米が主導するダイバーシティだったり少数派の権利の尊重といった文脈から中国

    2022年読んで良かった「ベストブック」10冊 - 歴ログ -世界史専門ブログ-
  • 『「社会正義」はいつも正しい』についての、いくつかの雑感 - 道徳的動物日記

    「社会正義」はいつも正しい 人種、ジェンダー、アイデンティティにまつわる捏造のすべて 作者:ヘレン プラックローズ,ジェームズ リンゼイ 早川書房 Amazon 早川書房から翻訳が出版された作家のヘレン・プラックローズと数学者のジェームズ・リンゼイの共著『「社会正義」はいつも正しい』に関して、出版とほぼ同じタイミングで山形浩生による「訳者解説」が公開された。 しかし、公開当初から訳者解説が差別的であるとしてTwitterなどで炎上。そして、公開から数週間が経過した先日に、公開停止が早川書房からアナウンスされた。 11月15日に弊社noteに掲載した記事「差別をなくすために差別を温存している? 『「社会正義」はいつも正しい』の読みどころを訳者・山形浩生が解説!」につきまして、読者の皆様から様々なご意見を頂いております。出版社がなんらかの差別に加担するようなことがあってはならず、ご指摘を重く受

    『「社会正義」はいつも正しい』についての、いくつかの雑感 - 道徳的動物日記