【北から南から】フランス便り(20) 主流派経済学の誤謬 ~制度派経済学の鬼才オルレアン教授の徹底批判~ 鈴木 宏昌 しばらく前に書店で買い求め、私の机の上に置かれていたオルレアン教授の『価値の帝国』(A. Orléan, L' empire de la valeur, 2011)という本を読んだ。オルレアン氏は、著名な制度派経済学者だが、貨幣論と金融に通じた専門家なので、何かの折に読んでおこうと思っていた。本の題名が抽象的なので、これも貨幣論の一種かなと考えていたが、読み出してみると、主流派経済学の土台にある市場や個人の経済行動の仮説を深く検討したすばらしい研究だった。ピケティの『21世紀の資本』とは異なり、かなり抽象度が高い専門的な本だが、言葉の問題もあり、日本では、オルレアン氏の名前を知っている人も少ないので、この本を紹介する意義があると思い、今回のテーマとした。 なお、主流派経済学