原発(原子力発電所)の再稼働、運転期間延長、新増設が議論になっている。電力のインフラ確保、エネルギー安定供給、電力価格低減、温暖化対策などのためにやむなしと考える人は少なくない。だが、このような原発の効果は本当なのだろうか。専門家の意見を聞いた。 エネルギー原発政策の大転換 今、東日本大震災以後、脱原発へ向かいつつあった日本のエネルギー原発政策の方向が大きく逆戻りしている。 岸田内閣は、運転停止中の原発を再稼働させ、運転期間を60年以上に延長させる方針を打ち出し、新増設も目指すとしている。また、政府は原発推進の理由として地球温暖化対策もあげる。 現政権や産業界は原発回帰へ前のめりだ。原子力規制委員会も、運転期間について十分な議論がないまま延長を認め、すでに老朽化対策のための基準作りに入った。 停止中の原発を抱える各電力会社も、原発再稼働に向けて動き始めている。一方、新基準の審査はハードルが