米中貿易戦争が世界経済に大きな影響を与えている。この問題は様々な立場から論じられているが、トランプがめちゃくちゃだということで一致している。トランプ政権の通商政策は「支離滅裂な戦術」であり、「専門家の誰もが間違っていると指摘する政策」であり、「こんな稚拙な考え方が、地球上で最も洗練された国を支配しているとは信じがたい」というわけだ。(田中明彦「貿易戦争から「新しい冷戦」へ」、木村福成×吉崎達彦「日本は経済守護者たれ」『中央公論』11月、宮崎哲弥「時々砲弾」『週刊文春』10/25)。中国への制裁関税はアメリカ経済に跳ね返ってくる。自分で自分の首を絞めるような政策は民主主義だからこそ採用されるものだ。 ドイツの法学者のカール・シュミットは自由主義と民主主義を区別した。世界人類は皆平等であるという自由主義的な考えは「空虚」であり、それゆえ経済という「政治上の外見的平等のかたわらで、実質的な不平等