「子供の科学」(誠文堂新光社)という少年向けの科学雑誌がある。評者も小学校の高学年の頃、この雑誌を毎号読み、模型や工作への関心を高めたものだ。本書『趣味とジェンダー』(青弓社)の第2部「<自作>する少年共同体」が、この雑誌の工作記事を歴史的に分析しているのに注目し、本書を手に取った。 11人の共同研究の成果 本書は、共同研究「近代日本の手作りとジェンダー――大量生産の時代における趣味のジェンダー化」(2015-17年度 科学研究費)の研究成果をまとめたものだ。編著者の一人である神野由紀・関東学院大学人間共生学部教授(デザイン史)は「男女の趣味の世界は、マニアックになるにつれて、干渉し合うことが少なくなる。手芸という極めてジェンダー化された趣味のもう片方では、男性の手作りの趣味も大衆化していて、男女の手作り趣味のあり方を同じ土俵で研究する必要があるのではないか」という問いからスタートしたと書