2月6日の午後6時過ぎ、山手線の車内でモバイルバッテリーが燃えるという事故があった。JR池袋駅に停車中の車内で、男性乗客のカバンに入っていたモバイルバッテリーから火が出たという。男性は「熱い」などと言いながらバッテリーを取り出し、床に投げ捨てたという。 燃えているのだから、それは熱いどころではないだろう。そのままにしておけばかばんの中身まで燃えてしまう。床に投げ捨てたのは、致し方ないところかと思う。だがその後が良くなかった。男性はそのまま立ち去ったという。 幸い20分後には消し止められたが、燃えてしまってはどのメーカーのどのモデルが発火したのか、追うことができなくなった。それが分かれば、同モデルの出荷停止や使用停止の呼びかけなど、一連の対応ができたはずだ。 恐らく男性は、発火の責任を問われると思い、逃げたのかもしれない。だが実際自分の身に置き換えてみると、突然手持ちのモバイルバッテリーがカ
30年のキャリアを誇る経営戦略コンサルタント。情報分析や業界分析に強く、未来予測やイノベーション分野が得意領域。一方で雑学にも強く、経済エンタテナーとして各方面に寄稿。経済クイズ本『戦略思考トレーニング』シリーズは20万部を超えるベストセラー。マスコミ関係者の地下クイズ集団『夜会』のメンバーとしても活躍。 今週もナナメに考えた 鈴木貴博 経済誌をにぎわすニュースや日常的な経済への疑問。そのときどきのトピックスについて経済の専門知識を縦軸に、社会常識を横軸において、ナナメにその意味を考えてみる。 バックナンバー一覧 ローソンのTOB(株式公開買い付け)に乗り出すKDDIですが、この選択には「先」があるかもしれません。もしもKDDIが楽天を買収したら、アマゾン超えも夢じゃないかもしれないのです。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博) KDDIが将来、楽天を買収する? ローソンTOBは序章に過ぎ
モバイル事業への巨額投資が響いて、財務も厳しい。楽天グループが今後5年で償還を迎える社債の額は、1兆2000億円。それに対して、23年3月末の手元資金は1175億円と心細い。 投資家の目もシビアである。21年3月、日本郵政が楽天グループに1500億円の出資を行ったときの株価は1245円だった。それが、23年6月末には499円まで下落。株価が半値以下になり、日本郵政は850億円の特別損失を計上せざるをえなくなった。 もっとも、三木谷楽天王国の崩壊はモバイル事業に手を出すずいぶん前から始まっていた。 10年前に、私は「楽天のビジネスモデルは今後行き詰まる」と指摘した。すると、三木谷会長兼社長本人が抗議にやってきた。私は根拠を示しつつ指摘についての説明を述べたが、結局彼は納得いかない表情で帰っていった。
楽天グループの三木谷浩史社長が横浜で来月開くビジネスカンファレンス「楽天オプティミズム」に登壇する。同社が今年開催する最大のイベントだ。 同社はウェブサイトで「Rakuten Optimism =より明るい未来」とうたっているが、楽観主義ないしは楽天主義と訳されるオプティミズムは、最近の楽天グループを想起させるものではない。 同社は過去16四半期のうち15四半期で赤字となり、危機的状況にあるように見える。株価は金融危機後の日本株低迷時以来の安値水準で取引されている。 かつて楽天グループには、米アマゾン・ドット・コムや中国のアリババグループに匹敵する日本の大手電子商取引・テクノロジー企業として大きな期待が寄せられていた。だが、2017年にすでに激しい競争を繰り広げていた日本の携帯キャリア市場に参入するという決断を下したことで、5年余りにわたり全く身動きが取れなくなっている。 振り返って考えれ
30年のキャリアを誇る経営戦略コンサルタント。情報分析や業界分析に強く、未来予測やイノベーション分野が得意領域。一方で雑学にも強く、経済エンタテナーとして各方面に寄稿。経済クイズ本『戦略思考トレーニング』シリーズは20万部を超えるベストセラー。マスコミ関係者の地下クイズ集団『夜会』のメンバーとしても活躍。 今週もナナメに考えた 鈴木貴博 経済誌をにぎわすニュースや日常的な経済への疑問。そのときどきのトピックスについて経済の専門知識を縦軸に、社会常識を横軸において、ナナメにその意味を考えてみる。 バックナンバー一覧 6月2日、アマゾンが「携帯サービスの提供」を検討していると米国で報じられました。実はこのニュース、日本にとっては要警戒です。もしも日本でも携帯を始めるとしたらその先には、アマゾンが楽天グループを買収する最悪シナリオが起こる可能性を否定しきれないからです。(百年コンサルティング代表
<かつては極めて良好な財務体質を誇り、市場の期待も高かった楽天だが、「最後の軍資金」で立ち直れるかどうかの瀬戸際に立たされている> 楽天が約3000億円の公募増資に踏み切った。同社は携帯電話事業の不振で4期連続の最終赤字を計上しており、財務が急激に悪化している。資金を捻出するため楽天銀行を上場させたものの、親子上場に当たることから、市場の評判はすこぶる良くない。 今回の増資でも携帯電話事業が軌道に乗らなかった場合、同社は重大な決断を迫られることになるだろう。 楽天は、日本のネット企業の雄と言われ、2000年に上場(店頭公開)を果たした際には、当時としては過去最高額の資金を調達している。財務体質も極めて良好で、上場直後の00年12月期における自己資本比率は何と95.2%もあった。 ネットバブルの崩壊によって株価は一時、下落したものの、その後は順調に時価総額を増やし、15年には株価が2400円
2023年5月1日、スマートフォン決済の「PayPay」を提供するPayPay社からサービスに関するいくつかの変更が発表された。Twitterでは「PayPay改悪」がトレンド入りするなど、ユーザーに衝撃を与えたようだ。 その1つがクレジットカードの新規登録、および利用を停止するというもの。PayPayは事前にチャージした残高で支払う方法だけでなく、登録したクレジットカードを使って支払うこともできるのだが、同社の発表によると2023年7月初旬に「PayPayカード」「PayPayカードゴールド」以外の他社クレジットカードの新規登録を停止し、さらに2023年8月1日には他社クレジットカードの登録自体を解除するという。 そしてもう1つの変更が、やはり2023年8月1日以降「ソフトバンク・ワイモバイルまとめて支払い」でPayPayに残高をチャージする際に2.5%の手数料がかかるというものだ。 ソ
2022年12月期決算で、過去最大の3728億円の赤字を計上した楽天グループ(以下楽天)。3月30日に開かれた株主総会では、4928億円の損失を出してグループ巨額赤字の根源となっているモバイル事業について、株主から「もうやめた方がいいのではないか」との意見も出され、事業として苦境に立たされた感が強く漂っています。「第4の携帯電話キャリア」として華々しく業界参入した同社のモバイル事業が、どうしてこうも苦戦を強いられているのか。筆者が考える三木谷構想4つの誤算をひも解きます。 (関連記事:正念場迎える「楽天モバイル」 財務戦略に潜む苦難の実情) そもそも三木谷構想では、モバイル事業そのもので大きな利益を得ようと狙っているわけではありません。楽天はECビジネスからスタートし、新規事業の立ち上げや企業買収によってその領域を広げていき、ポイント・サービスやキャッシュレス決済をキーに利用者を楽天ビジネ
楽天は今、楽天モバイルで赤字を垂れ流し、証券子会社を売却して資金を確保しなければならないほど苦しい状況です。なぜこのような状況になってしまったのか、今後どのようになっていくのか、考えてみたいと思います。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介) プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ) 株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。 楽天モバイルさえ無ければ… 楽天には、『楽天市場』『楽天モバイル』『楽天銀行』『楽天証券』がありますが、実は楽天モバイル以外は好調です。 大きな黒字
2022年度決算で、楽天グループ(以下楽天)は最終損益で4期連続かつ過去最大となる3728億円の赤字を計上しました。しかし、気になったのはその赤字の大きさよりもいつになく弱気な三木谷浩史社長の言動でした。 特に「グロスの有利子負債を増やす予定はない」という発言には、まだまだモバイル事業で多額の投資が見込まれる中で、格付の低下がボディブロー的に効いている印象を強くさせられました。 現在、楽天銀行、楽天証券の株式公開を見込んでいますが、ここにきてまた米国発の金融不安で株式市場は不透明さを増しており、「カネの切れ目が野望の切れ目」になりそうなムードも漂っているのです。 “銭喰い虫”状態の「楽天モバイル」 4期連続赤字決算最大の原因は、モバイル事業の巨額赤字に他なりません。祖業であるECビジネスや金融ビジネスは順調に利益を上げていながら、三木谷氏の肝いりで新規参入したモバイル事業がどうにもこうにも
既報の通り、サムスン電子ジャパンは2月28日12時にオンラインショップ「Samsung(サムスン)ストア」をオープンしました。 →Galaxy製品を扱う「Samsungオンラインショップ」開設 送料無料、2年保証のプレゼントも SamsungストアではGalaxyブランドのSIMフリー(自社販売)スマートフォン/タブレットや、同ブランドのスマホ/タブレット用の周辺機器が販売されます。 そう聞くと「え、それほど大きなニュースでないのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、実はこれ、日本におけるGalaxyブランドの“取り扱い”が大きく変わるという意味では大ニュースだったりします。 日本向けのGalaxyは“特別”だった スマホやタブレットに詳しい人にとって、Galaxyブランドのスマホやタブレットが韓国Samsung Electronics(サムスン電子)製であることは“当たり前”の話です。
Zホールディングス(ZHD)は2日、持株会社のZHDと傘下のLINEとヤフーの3社を2023年度中をめどに合併すると発表した。同日の決算説明会では、合併の背景について説明された。 ZHDとLINE、ヤフーの合併 現在のZホールディングスは、メッセージングアプリ「LINE」などを運営するLINEと、ポータルサイト「Yahoo! JAPAN」やオークションサイト「ヤフオク!」などを運営するヤフーを完全子会社として有している。グループにはソフトバンクと共同で保有するPayPayや、上場子会社のアスクル、ZOZOなどを抱えている。 2023年度に実施される合併は、ZHDと、その100%子会社であるLINEとヤフーの2社を統合するもの。合併により、意思決定プロセスの迅速化と、重複事業の削減によるコスト効率化を図るという。PayPayやアスクル、ZOZOなどの関連会社は合併の対象とならない。 合併発表
楽天グループについて分析します。直近で2022年第2四半期決算が発表され、なんと8四半期連続営業赤字という状況です。8四半期ですから、丸2年ということになります。ずっと赤字を計上しているわけです。この赤字の原因というのが、楽天モバイル事業(携帯電話事業)になるわけなんですが、この赤字がいったい、いつ黒字化するのか?というのが大きな焦点になっているのです。私が見るところによると、楽天はこのモバイル事業を、そもそも続けていけるものなのか?と疑問を抱いているわけです。逆にモバイル事業がなかったら、楽天はどれだけ良くなるのか?どのような株価がつくのか?ということも、この記事では試算をしています。ぜひ楽天の株価や、事業に興味のある方はご覧になっていただければと思います。 (『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介) 【関連】バフェットに憧れた孫正
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