細菌が動物に社交性を与えていたようです。 6月30日にカリフォルニア工科大学の研究者たちにより『Nature』に掲載された論文によれば、腸内細菌がマウスに社交性を与える仕組みを解明したとのこと。 研究では解明された仕組みを利用することで社交性の回復にも成功しました。 いったいどんな仕組みで腸内細菌はマウスに社交性を与えていたのでしょうか?
水と構成元素が同じ重水は甘いようです。 4月16日に『Communication Biology』に掲載された論文によれば、中性子が1個追加された重水素からなる重水は、ヒトにとって甘く感じられることが示されました。 重水が甘いという逸話は1930年代から延々と伝えられているものの、常識的な研究者たちは「構造が等しいからには同じ味がするはずだ」と都市伝説扱いされてきました。 しかし今回の研究により、都市伝説が常識を打ち破る結果が明示され、多くの反響を呼んでいます。 しかし、構造が水と全く同じなのに、どうして重水は甘く感じられるのでしょうか?
オーストラリア南部で、新種のクジャクグモ(マラトゥス属)が発見されました。 顔の色と模様が、2003年のディズニー映画『ファインディング・ニモ』に登場するカクレクマノミのニモに似ていることから、「マラトゥス・ニモ(Maratus nemo)」と命名されています。 クモ界の新たなアイドルの誕生でしょうか。 研究は、3月25日付けで『Evolutionary Systematics』に掲載されています。 New Species of Dancing Peacock Spider Discovered http://www.sci-news.com/biology/maratus-nemo-09501.html Adorable New Species Of Peacock Spider Named After “Finding Nemo” https://www.iflscience.com/
先日、アメリカのSNS上で「科学者がホウレンソウにメール送信の仕方を教えた(英文)」と話題になりました。 この元ネタは、マサチューセッツ工科大学(MIT)が開発した「爆発物を探知できるホウレンソウ」にあります。 このホウレンソウは、地中の爆発物を検出すると、それを電子メールで知らせてくれるのです。 どうしてそんなことが可能なのでしょうか。 研究の本論文は、2016年に『Nature Materials』に掲載されています。 MIT Scientists Hack Spinach Plants to Send Emails https://wordpress.futurism.com/scientists-hack-spinach-plants-send-emails Scientists Create Spinach That Can Test For Bombs https://news
陸生物初の「虹色素胞」で光るヤモリウェブフット・ゲッコーは、体長10〜15センチほどの夜行性ヤモリです。 砂漠の乾いた川床や砂丘に住み、日中は水かき(ウェブフット)のついた手足で穴を掘って暮らします。 皮膚は黄色味がかった半透明をしており、体側に白のストライプと目の周りに同色のリングがあります。 これが月の光を吸収するとネオングリーンに輝き、その他の皮膚は薄ボンヤリした青色に発光します。 ウェブフット・ゲッコー / Credit: David Prötzel 研究チームは、この発光メカニズムを解明するため、ウェブフット・ゲッコーにUVライトを当てて調査をしました。 発光は、オスメスの成体および幼体のすべてで確認されています。 発光源を調べてみると、皮膚内のグアニン結晶で満たされた色素細胞である「虹色素胞」にありました。 グアニンはDNA成分のひとつであり、その結晶の集団配列は、魚の銀色光
「最強の生物を考えてみよう」という宿題が小学生時代の夏休みに出されたら、いったいどんな姿を想像するでしょうか? 恐竜のように巨大で力強い生命を思い浮かべる人もいれば、優れた環境適応能力をもつ細菌こそが最強だと考える人もいるでしょう。 あるいは現在繁栄している人間こそが最強と呼ぶべきだと言う人がいるかもしれません。 しかし今回紹介するテッポウエビは、恐竜や細菌、そして人間も存在しないSFのような「遠距離攻撃能力」を持ちます。 巨大なハサミの2つの刃が噛み合うとき、凄まじい衝撃波が生成され、水温は瞬間的に4400℃にも達し、プラズマの閃光きらめく衝撃波が生じます。 衝撃波をまともにくらった小魚やカニは一瞬にしてノックダウン、テッポウエビのエサになるのです。 しかし瀬戸内海の魚市場で1盛り800円で売られているこの最強生物は、いったいどうやって、そんなSFチックな能力を発揮しているのでしょうか?
カゲロウは数時間で死ぬように体が作られています。 はかなく飛び回るカゲロウには口がなく、腸もないため、一切のエサや水をとることができないんです。 地球上には様々な虫が存在しますが、口がない虫というのはカゲロウの他に存在しません。 また飛行速度も非常におそく、鳥・コウモリ・魚など様々な動物にとって格好の獲物になります。 魚釣りに使われる疑似的なエサの多くが、カゲロウをモデルにしていることからも、その捕食されっぷりがうかがい知れます。 そんな弱々しさやはかなさの代名詞にもなっているカゲロウ。 しかしカゲロウは3億5000万年前から地球に生き続けている、生きている化石なのです。 そして彼らが何億年もの間、種として生き残れてこれた秘訣は、まさにこの弱さにありました。 弱肉強食の自然界で弱さを武器に生き残ってきたカゲロウの生存戦略とは、いったいどんなものなのでしょうか? カゲロウ誕生の歴史から紹介し
現在、ベルギー北部・アントウェルペンにあるSchoonselhof墓地周辺で、「ミステリークレイフィッシュ」というザリガニが大量発生しています。 このザリガニは、自己増殖(セルフクローニング)で繁殖するため、子孫を残すのに交尾を必要としません。 本来、自然下には存在せず、人によって実験的に作り出された生物と言われています。 野生での繁殖を止めるのはほぼ不可能で、ベルギー現地の生態系も危険にさらされているとのことです。
空気中でガラスにハサミを入れると、当然ながら大きな音を立ててパリンと割れてしまいます。 では水中ならどうでしょう。 実は水に浸した状態だと、ガラスを好きな形にハサミでカットすることができるのです。 ちなみにこの不思議な現象は、2017年に放送されたテレビアニメ『名探偵コナン』第862話にトリックとして使用されているとのこと。 一体なぜそんなことができるのでしょうか。
高い気温は人を狂わせ、暴力的にするだけでなく、自殺に駆り立てるようです。 イギリスの研究では気温が18℃を超えると、1℃上昇するごとに自殺率が3.8%増加することが報告されています。事実、1995年に熱波がイギリスを襲った際は、自殺率は驚異的とも言える46.9%の増加を示しました。 またギリシャでは、特定の地域で報告された殺人事件137件の30%以上が、平均気温が25℃を超える日に発生したと報告されています。 また1791年から1880年までの世界中の反乱や蜂起を調べた結果、圧倒的多数が夏に起きていました。 変化は激しいものだけではありません。 気温が高くなると、人々がクラクションを鳴らす回数が増え、警察官は人々の行動に無秩序さが増すのを感じ、見知らぬ人を助ける可能性が低くなると言われています。 高い気温で人が狂ってしまうのは事実なのでしょうか。それとも満月の夜も犯罪率のように、単なる逸話
ワキガの元凶がたった1種類の細菌のせいだとわかりました。 この原因となる細菌は特殊な酵素を使って、人間の汗を食べ、その排泄物として強烈な刺激臭(チオアルコール)を生産していたのです。 原因菌と臭いの生産過程が明らかになったことで、ワキガをはじめとした体臭を効果的に防ぐデオドラント(制汗剤)の開発が進むと期待されます。 しかし、どうして今まで原因となる悪臭生産菌がみつからなかったのでしょうか? そしてなぜ私たちは、進化の過程で悪臭を捨てられなかったのでしょう。そのナゾを深堀りしていきます。 ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
顕微鏡が手元にあったなら、自分の精子を見てみようかなと考える男性は多いかもしれません。 事実、500以上もの顕微鏡を自作した微生物学の父アントニ・ファン・レーウェンフックは回収した自分の精液を観察して、人類で初めて精子の存在を発見しました。 このときレーウェンフックは「精子には長い尾があり、水中のうなぎや蛇のような動きで泳いでいる」と記録を残したのです。 その後、現代に至るまで精子は長い尾をうなぎのように左右に振って泳いでいると信じられてきました。 しかし、どうやらそれは勘違いだったようです。 新たな研究は秒間5万5千フレームという超高速カメラと3次元顕微鏡を使って観察した結果、これまでの通説とは全く異なる精子の泳ぎ方を発見しました。 精子の発見者 レーウェンフック精液は生命の源として、古代ギリシャのアリストテレスも言及しているなど、非常に古くから研究対象にされていました。 しかし、精液が
Anonymous Coward曰く、 体内でアルコールを醸造してしまうという「自動醸造症候群(Auto-Brewery Syndrome、ABS)」という病気が存在する(過去記事)。一般的にこの病気の患者にはアルコールを摂取していないにもかかわらず酔っ払ってしまうという症状が出るが、膀胱でのみアルコールが醸造され、そのアルコールは体内には吸収されず尿と一緒に排出されるという珍しいタイプのABS患者が見つかったそうだ(USA TODAY)。 ABSは、腸内などにアルコール発酵を行う酵母などが住み着き、患者が摂取した炭水化物などがこれによって体内でアルコールに変換されることで発生する。 一般的なABS患者と同様、今回の患者の女性はアルコールを摂取しないにもかかわらず、排出される尿には多量のアルコールが含まれているとのこと。さらに、この女性の場合膀胱がアルコールを醸造する機関になっていたとのこ
By Julim6 フランス革命で処刑されたマリー・アントワネットが、処刑の前日に一夜にして白髪になったという逸話のように、「ストレスが髪を白くする」とする話が多数伝えられていますが、そのメカニズムは長らく不明でした。アメリカのハーバード大学とブラジルのサンパウロ大学の合同研究チームが、マウスを使った動物実験によって、そのメカニズムを解明しています。 Hyperactivation of sympathetic nerves drives depletion of melanocyte stem cells | Nature https://www.nature.com/articles/s41586-020-1935-3 How the stress of fight or flight turns hair white https://www.nature.com/articles/d
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