ルパート・マードック(Rupert Murdoch)氏率いる「メディア帝国」に激震が走っている。傘下のタブロイド紙が廃刊に追い込まれた盗聴事件をめぐり,マードック氏自身がイギリス議会に召喚されるなど,世界有数の複合メディア企業は,足元からぐらつく。 さらに事件が警察や政界をも巻き込む大スキャンダルへと波紋を広げる中,怒る世間は,不信の目をメディア全体に向けている。メディアは,市民の信頼を取り戻せるのだろうか。 盗聴が横行?市民の怒り爆発 発端は,2006年,イギリスの日曜大衆紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」(NoW)の記者ら2人が,英王室関係者らの電話を盗聴したとして逮捕された事件であった。NoWは記者らの個人的な犯行と主張して幕引きを図ろうとした。それに対して,編集長が関わっていたとする内部告発があり,NoWによる組織的な盗聴疑惑がくすぶり続けた。 今回スキャンダルに再び火がついたのは