注射することで、アトピー性皮膚炎の症状を抑える新薬が登場した。患者本人が自分で注射することもでき、何度も通院しなくても自宅で手軽に利用できる。高額だが、外用薬が効きにくかった人にも効果がある事例も多い。ただ、症状の改善には既存薬との併用が必要不可欠だと専門家は指摘する。 40年間苦しんだかゆみからようやく解放された――。広島県に住む40歳代の男性は、幼少期から悩まされてきたアトピー性皮膚炎の症状が改善した。担当医師から処方されたのは、2018年にサノフィが発売したアトピー性皮膚炎の注射薬デュピクセント(デュピルマブ)。皮下注射することで、かゆみの原因たんぱく質の働きを抑える。 アトピー性皮膚炎は、かゆみや赤みを伴う皮膚の病気だ。アレルギー疾患の一つで、日本に約51万人の患者がいるとみられる。 これまでは、ステロイド外用薬やタクロリムス軟こうなどの塗り薬、かゆみ止めなどの飲み薬で症状を緩和す