原子力研究の落日、使命を見失った学者たち――象牙の塔の「罪と罰」(1) - 11/07/07 | 16:13 5月21日、都内のとあるホテル。福島第一原子力発電所事故後初めてとなる、日本原子力学会のシンポジウムが開かれた。傍聴席からの質問に答え、東京大学の岡本孝司教授は、「津波に対するリスクの認識が非常に甘かった」と学会の責任について言及した。だが、事故発生からすでに2カ月余り。遅すぎた反省の弁は、むなしく会場に響き渡った。 学界は原子力業界の基盤を成す存在だ。原子炉メーカーや電力会社など産業界に人材を送り込むほか、日本の原子力政策を決める原子力委員会、安全基準の策定や審査を行う原子力安全委員会など、国の中枢機関の構成員の多くも、研究者が占める。それだけに、今回の事故で問われる責任も重い。 原発の安全確保について、「結果として、学者は専門家としての力量を提供できていなかった」。そう分析