稀代のマーケター辻中俊樹さんの近著を、多くの人たちに読むよう薦めている。拙著『マーケティング入門』(日本経済新聞出版社)の中でも、辻中作の「母系消費」や「妻方近接居住」という概念を紹介したが、どちらも辻中さんが開発した「生活日記調査」からの発見だった。 この本のおもしろさは、団塊シニアと子育てママたちの「生活記録」(+インタビューと行動観察)から、メディアがもっともらしく伝えている「マーケティングの通説」をひっくり返して見せていることだろう。周囲をよく観察すればわかることなのかもしれないが、それでも「もっともらしい常識」に騙されてしまっていた。 わたしも、自分より上の世代(団塊シニア)の引退後の生活は、引きこもりがちになるのだろうという常識を信じ込んでいた。そうではない。シニア世代は確かによく歩いている。知らなかったのではなく、信じ込んでいただけなのだった。反省しきりである。 また、30歳
標記の図書が、2015年1月8日に刊行されました。 比較的メジャーな出版社からの発行であることもあり、今後、牛乳有害論や牛乳不要論などのいわゆる「アンチミルク」を訴える人々が、この本を引用して、様々な言説を繰り広げることも想定されます。 これを踏まえ、Jミルクとしては、「乳の学術連合」の協力を得ながら、適切な対応、必要な反論に向けて、論点とエビデンスの整理を行うこととしており、既に、学術連合の先生方からは、各研究分野の専門的な視点によるご意見、当該図書の誤りや論理的な矛盾点についてのご指摘も頂いているところです。 つきましては、当面の対応として、当該図書で展開されている「アンチミルク」の主な主張に対し、Jミルクで収集・整理している研究者の見解やエビデンス等の情報をご提供致しますので、参考にして下さい。 なお、併せて、今後の対応について、ご連絡致します。 本書の出版意図については、「まえがき
1月、PHP新書から『牛乳は子どもによくない』(佐藤章夫)が発刊された。Jミルクは、この内容への反論、著者の見解の誤りや矛盾点などを整理し、ホームページ上で発表した。 同書は、牛乳に含まれる女性ホルモンや成長ホルモンが子どもの発育に悪影響を与える、これらが乳がん・前立腺がんなどの発症の原因になっている、などとして牛乳の効能や通説を否定している。 Jミルクではこの著書が、▽比較的メジャーな出版社から発行されていること、▽牛乳有害論・牛乳不要論者がこの本を引用することが想定される、といった理由から、関係団体や研究機関が発表した最新の研究内容を紹介し、同書の矛盾点や主張の誤りを多数指摘している。 例えば、同書では市販牛乳に含まれる女性ホルモンが0.378ng/mlとしているが、内閣府食品安全委員会の調査では最大でも0.023ng/mlとなっており、「筆者の測定値と食品安全委員会の報告の間には20
一時期、2ちゃんねるスレッドに頻繁に立っていたスレがあった。「セブン-イレブンの食いもんがレベル高すぎる件」「セブン-イレブンで一番うまい食べ物が決まった」「セブン-イレブンのこれ美味すぎてヤバい」などの、セブン-イレブンのPB商品・セブンプレミアを絶賛するスレッドである。 なかでも評判なのが「つけ麺」。書き込みを見ると、「美味すぎるwww」「安価の割に美味かった」「ラーメン屋でセブン-イレブンの冷凍つけ麺を売り出したら大盛況」などやたら受けがいい。 しかし、この「つけ麺」に待ったをかけるのが『冷凍・レトルト食品の危険度調べました』(垣田達哉/三才ブックス)である。 同書では「11種類もの添加物 まさに人工つけ麺」と評し、「塩分が、1食分で5・3g含まれています。WHOの指針の1日分を超えています」と警告されているのだ。 さらに原材料にかんしては、「発がん性物質が含まれている恐れのあるたん
ジョンJ.レイティ (著)、 リチャード・マニング (著)、 野中 香方子 (翻訳) 出版社:NHK出版 発売日:2014-12-19 ダイエットや資格の取得など、新たな1年を新たな目標とともにスターとした人も多いだろう。あなたの目標がどんなものでも、目標など設定していなくとも、本書が投げかけるメッセージ「Go Wild(ワイルドに行こう)」は人生をより良い方向へと導くためのヒントを与えてくれる。 本書の主張はシンプル。人類は600万年前の誕生から1万年前に農耕を発明するまで野生の生活を送っていたので、人類の体も脳も野性的な狩猟採集生活、つまり「ワイルド」な状態に進化的に最適化されている。そのため、ワイルドという人類本来の状態に身を置けば、より健康で、よりクリエイティブで、より幸せな人生を送ることができるのだという。それではワイルドな生活とはどのようなものか、ワイルドは私たちに何をもたらし
『獺祭 天翔ける日の本の酒』 本物を見抜く目育てよう 「日本酒業界は『もうだめだ』ってところまで追い詰められたけど、いま上向き始めている。みんな20年失われた失われたってしょんぼりしてるけど、やることをやってちゃんと成長させている人がいる。先進的なモデルがあるんだよっていいたいですね」 タイトルになっている「獺祭(だっさい)」は、山口県岩国市の「旭酒造」という蔵元で造られている純米大吟醸酒だ。つぶれかけた蔵の主になった桜井博志さんは、次々に改革を成し遂げ、「獺祭」を世界に通用する酒にしていく。 その20年間の足跡を描いたルポルタージュは、日本酒を愛する男たちの「共闘の記録」といってもいいかもしれない。古めかしい慣習をどんどん覆していく姿はじつに爽快。好例はいくつもあるけれど、象徴的なひとつが「杜氏(とうじ)抜きの酒造り」だろう。 「日本の農村が古い形態で存在していたから杜氏という制度があっ
学術的な選書シリーズでパンがテーマ。となればパンの歴史や社会との関わりを論じたような本だと思うかもしれないが、実はまったく違う。めちゃくちゃおいしそうなパンの写真がたくさん載ったカラー口絵を眺めてから「まえがき」を読み始めると、いきなり目に入ってくるのは「シニフィアン・シニフィエ」という言葉。たしか私が社会人になった年に創刊された、この講談社選書メチエシリーズの第一回配本は現代思想の本だったよなぁ、などと思い出してしまうが、ここで書かれているのはソシュールのいうシニフィアン・シニフィエ(=「意味するもの」と「意味されるもの」)ではなく、パン好きであれば知らない人はいないほどの有名店、世田谷公園にほど近いパン屋さん「シニフィアン・シニフィエ」のこと。慌てて著者の名前を見直せば、なんとそのオーナーシェフ志賀勝栄氏自身が書いた本なのだ。 パンを買うのが好きな人はもちろん、パンを自分で作る人たちに
俺に。 小学館:「給食主食はメロンパン」記事に事実誤認と陳謝 - 毎日新聞 同市によると、特集記事「学校がヘンだ」で、「9月に提供された市の給食の献立は、メロンパン、焼きそば、とりつくね、フルーツ杏仁(あんにん)、牛乳。主食の位置づけはメロンパン。菓子パンを主食にするのはおかしい。化学物質や添加物も気になる」と報じていた。 同市教育部が調査した結果、メロンパンを提供しておらず、小学館に抗議していた。小学館側が10日、市を訪れ、「事実と違っていた。次号で訂正文を掲載したい」と陳謝したという。 元記事キャッシュ 全国各地で出た給食の奇抜メニュー メロンパンと焼きそば等│NEWSポストセブン そして、幕内さんが「一番ひどい」と指摘するのが、愛知県江南市で9月に提供された給食。献立は、メロンパン、焼きそば、とりつくね、フルーツ杏仁、牛乳という内容だ。ちなみに主食の位置づけはメロンパン。 「そもそも
【著者に訊け】『極卵』仙川環/小学館/1620円 物語は吉祥寺の自然食品店から始まる。店頭に積まれているのは、4個入り1000円の高級卵「極卵」だ。江戸時代の地鶏を研究所が復活させ、養鶏場が薬を一切使わずに生産した。ところが、安心安全なはずのその卵が食中毒を起こす。 元新聞記者の桐子が取材を進めると、意外な事実が次々に発覚。結末まで一気に走り抜ける。 仙川さんが食の安全を取り上げたのにはわけがある。6年前、「中国毒入り餃子事件」が報道された前日に、同じ冷凍餃子を食べていた。底知れぬ恐怖を感じて、食の安全にこだわり始めた。添加物の多いハムの代わりに塩豚を作り、米作りにも参加し、近所の農家の指導で野菜を自給自足した。 「わかったのは無農薬の大変さ。虫がブワッと発生したので、一定量の農薬は使うようにしました。適切な量と使用法を知っていれば農薬も怖くない。何がどうなっているのか、わからないのがいち
ー さあ、新しい『日本酒』の話をしよう ー コミックマーケット86で大いに話題になった、日本酒同人誌「酩酊女子presents むむ先生の白熱日本酒教室」が書籍になります! 今の日本酒を飲み手目線で解説しつくした『白熱日本酒教室』。ありそうでなかった、今の日本酒の楽しさ、面白さ、おいしさについて語りに語った本が、書籍になります。しかも、新書です。 新書なので同人誌版に比べて文章が大幅にパワーアップしています。というよりも、14時間目までしかなかった同人誌版に比べ、20時間目+卒業課題にボリュームアップ。もちろん、各コマの講義も大幅パワーアップ。加筆修正というよりは、再構築をして、よりわかりやすく、詳しく書き直したという感じになっています。もちろんアザミさんのマンガも描き下ろしですよ! 噂によると、むむ先生と助手の誕生秘話が……!? 同人誌版を読んで下さった方のために、増えた分のお話をちらっ
お菓子を食べはじめたら、途中でやめられなくなり、気づいたら一袋を一気に食べてしまった──。そうした経験は誰にでもあるだろう。実は、加工食品のグローバル企業は、消費者が自社の食品を買い続けるよう、さまざまな罠(トラップ)を製品に仕掛けているという。『ニューヨーク・タイムズ』紙記者のマイケル・モス氏は、近著『フードトラップ』で、長期的には健康をむしばむ可能性があることを承知で、消費者をひっかける製品を次々と世に送り出す加工食品業界の実態を暴いた。著書の舞台は米国だが、登場するのは世界を市場にしている企業ばかり。当然、日本も無関係ではいられない。2010年に食肉汚染報道でピュリッツアー賞した敏腕記者モス氏が、無防備に加工食品を利用する消費者に警鐘を鳴らす。
本の紹介 345: 基準値のからくり、 村上道夫・永井孝志・小野恭子・岸本充生 著、 講談社(ブルーバックス)(2014年6月) ISBN978-4-06-257868-4 基準というものは、考えるという行為を遠ざけてしまう格好の道具である。 (ウイリアム・セジウイック、1855-1921) 人生は、危険でいっぱいである。食べたら危険!! 飲んだら危険!! 吸ったら危険!! 触れたら危険!! 近づいたら危険!! 漏れたら危険!! 逃げないと危険!! 等、切りがない。古来から人類は “危うき” に接したとき、先祖からの教えや自らの感性に基づき、危ういか否かの判断を自らで下し、危険を回避してきた。これに加え近代は、国家や権威のある機関が定める基準値という “拠り所” に従い、社会として対処するようになった。 本書は、新進気鋭の4名のリスク研究者がまとめた、さまざまな安全に関する基準値の “根拠
18歳以上のアメリカ国民の33パーセントが、BMI30以上の肥満体だという。本書によれば、陸軍幹部が公式発表で首都ワシントンの18歳以上の男女が太り過ぎで採用できないと表明。また、カリフォルニア州ロサンゼルスでは、太り過ぎのため帝王切開が困難になり死亡する産婦が増えているという。また痛風患者は全米で800万人にも達するという。 なぜアメリカはかくも肥満大国になってしまったのか。本書はアメリカの加工食品産業の問題点について、原材料である塩、砂糖、脂肪という三点を軸にしながら追及する。 塩、砂糖、脂肪の罪 この三つの材料は加工食品になくてはならない物である。なぜなら、製造工程において、苦味、金属味や渋味などの付着がおきてしまうのが通常だが、この三つの材料を加える事により、それらの不純な味を隠すことができるのだ。 糖分への渇望は人間が本能的に持っているものだ。生後間もない赤ちゃんに砂糖水を与える
今回は宋美玄さん著「産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK」の書評エントリです。 小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK に続いて、メタモル出版刊行本書評3連発の第2弾*1です。 http://d.hatena.ne.jp/doramao/20140608/1402205507 宋さんはテレビでもおなじみの産婦人科医ですが、バラエティ番組などで、変な情報に傾きそうになると必死(?)により戻そうと奮闘なさっている姿が思い浮かび、頑張れ〜と心の中で叫んでいるどらねこ*2です。 ■気になる内容は? 森戸さんの本は、「おかあさんもっと安心してよいんですよ」というメッセージをどらねこは感じましたが、宋さんの本は、ハウツーたっぷりの応援本という印象です。 まずは前回同様、本の目次を紹介です。どらねこが個人的にオススメでぜひ読んで欲しい項目を赤字にしてます。 プレ妊娠編 Q1 予防接種はしてお
著者ケヴィン・モーガン/ロバータ・ソンニーノ著、杉山道男・大島俊三 共編訳、堀田康雄・野澤義則・下内充 共訳 「子ども第一」世界の波に 同書は、学校給食の位置づけや公共食材調達の仕組みが、いかに地域食材や小規模農家からの供給を困難にしているかを綿密に検証。その上で、2000年以降、世界各地で学校給食改革の波が広がっていることを紹介している。 さらに、学校給食だけでなく、幼稚園から高齢者施設給食などの公共食を軸に、「食の流通の再地域化」が、地域経済の発展、民主主義を維持し持続可能な食料システムの構築にもつながると指摘する。 ◆商業化を反省、動き出す行政 従来、食事提供はひとつの産業にすぎず、しかも、公共給食では「質よりコスト優先」という考え方が一般的だった。公共事業である以上、特定地域の食材だけを優先すべきではないという「非差別化」の原則もある。それが、学校給食の物資納入の価値観にもなってき
イベリコ豚というと、あなたは何を思い浮かべますか? イベリア半島固有の畜種、どんぐりを食べている、香りに特徴がある、高級である……そういったイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く