「宇宙は音のない世界です」と野口聡一宇宙飛行士から聞いたことがある。2005年夏、野口飛行士が船外活動でスペースシャトルの外に出たときのこと。「宇宙は音がなく、動きがない、静寂の世界。つまり生き物が生きていけない『死の世界』だと感じた」と話して下さった。 宇宙空間は真空だから、音は伝わらない。音も動くものもない・・・その静謐な「死の空間」に身を置くことを想像して、話を聞きながらゾクゾクしたのを覚えている。 宇宙は本当に音のない世界なのだろうか?確かに私たちの耳に聞こえる音はない。だが、聞こえるようにする試みは実在する。たとえばNASAは探査機が観測した電磁波を音に変換し、小鳥のさえずりや吹き抜ける風のような音を専用のウェブサイトで公開している。そして、日本が参加する、あの史上最大規模の電波望遠鏡アルマが、実際の観測データを音楽にするプロジェクトを実施しているのだ。しかもその旋律は「いかにも