ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が元日のニューイヤーコンサートで演奏するヨハン・シュトラウス1世作の「ラデツキー行進曲」の楽譜が、今年から一新される。アンコールの最後での手拍子は毎年の恒例となっており、クラシックファンにはおなじみの曲だ。楽譜の一新には、ナチスが絡む歴史との決別の意味が込められている。 これまで使われてきた楽譜は、オーストリア出身の作曲家レオポルト・ベーニンガー(1879~1940)の編曲による1914年版。ベーニンガーは32年、隣国ドイツで台頭していたナチスに入党し、党の文化・音楽活動に協力したことで知られる。 楽団長でバイオリニストのダニエル・フロシャウアーさんによると、「ベーニンガーの楽譜を今も使っているのか」という質問を受けることがあるといい、対応を考えるために、楽団が楽譜や記録を詳しく調べてきたという。 その結果、楽譜は戦後になってパートごとに手書きで書き加えら