大阪大学の研究グループは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)早期に起き、重症化を招く免疫反応の暴走「サイトカインストーム」の引き金となる物質を発見した、と発表した。血液凝固を促進する「PAI-1」というタンパク質で、PAI-1が増えたCOVID-19の患者は、肺などに血栓ができて重症化していた。この成果は新たな治療法開発につながると期待される。 新型コロナウイルスの感染により、血中のIL-6がPAI-1を介して血栓形成を促進し、サイトカインストームの引き金になることを示す概念図。抗体医薬品「アクテムラ」がIL-6の働きをブロックする(大阪大学提供) 研究論文は22日に米科学アカデミー紀要に掲載された。COVID-19の患者では生理活性物質サイトカインの一つ「インターロイキン6」(IL-6)が血中に増加し、このIL-6が血管からPAI-1を放出。血栓が形成されてサイトカインストーム