赤ワインはポリフェノールが含まれているから、グラス1杯なら体に良い。飲む量を控えれば、健康に害はない──世の中には、少しでもアルコール摂取を正当化しようとする言い訳が出回っているが、果たしてそれはどこまで科学的根拠に基づいているのか。 チャールズ・ダーウィンが『人間の由来』に書いたように、「多くの霊長類は……強い酒を好む」生き物だ。人間は車輪を発明する以前からすでにアルコール飲料、つまり酒の醸造をしていた。しかしながら、私たちはアルコールが脳や体にどのような影響をおよぼすのか、どれほど理解しているだろうか? 知識はかなり蓄積されている。ここ数十年のあいだに多数の研究がされ、昔から言い伝えられてきた教訓の正しさを裏付けたり、誤りを証明したりしてきた。これまでの研究で得られた知見をいくつか紹介する。 生まれて初めてのアルコール体験 酒を生まれて初めて飲んだとき、口にふくむとほぼ同時にアルコール