13歳女子中学生からの手紙 8年ほど前のことだ。 ある短大で教員として働いていた。出勤すると、メールボックスに、様々な学会からの郵送物やらアマゾンからの購入本やら大量のダイレクトメールにまぎれて、日常生活ではまったく目にすることがないような見慣れぬ封筒が入っていた。 水色のタータン・チェック柄にオレンジ色のポットとカップのイラストがついた封筒。送り主は見知らぬ名前。宛名をもう一度確かめる。幼い字で、「宮内洋様宛」と書かれている。 自分宛ということを確認して、封を開ける。 自己紹介が書かれてあった。送り主は、鳥取県在住の13歳の女子中学生だった。 「今まで生きてきた13年間で1番ハマッた」のは仮面ライダーで、仮面ライダーがいかに素晴らしく、そして自分がいかに仮面ライダーを好きなのかという思いが便箋3枚にびっしりと鉛筆で綴られていた。 中学入学後はいろいろなことがあり、様々なことがうまくいかな
その日、男は、渋谷発成城学園前行きのバスに乗っていた。 「仕事を辞めさせてください。もう無理です」 それを言うために、仕事場に向かっている。 彼の仕事は、ぬいぐるみ(着ぐるみ)を着て、カメラの前で演技をするものだ。 ただし、それは壮絶なものだった。 体にぴったりのゴム製のぬいぐるみとマスクを着るため、前がよく見えず、呼吸困難になり、1回に15分続けるのが限界だった。 ぬいぐるみに火が燃え移りそうになったり、マスクに水が入って息ができなくなったりと、何度も、命の危険にさらされた。 何ヶ月もの間耐えてきたが、心身ともに限界に来ていた。 始めたころから、体重が5kg以上減った。 「自分には、もうこの仕事は無理だ。辞めさせてもらおう」 それを告げに行くために、バスに揺られていた。 途中で、小学生たちが乗ってきた。 彼らは口々に言った。 「ウルトラマンが怪獣をやっつける時の、スペシウム光線がかっこい
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