初期のコンピュータ・ソフトウェアを開発し、1960年代のイギリスで女性ばかりのプログラミング会社を起業・成功したステファニー・シャーリー。ユダヤ難民として幼少時に渡英し、自閉症の息子を持って慈善活動に資産を捧げた、その波瀾万丈の人生について、英紙「フィナンシャル・タイムズ」が聞いた。 波瀾万丈な女性IT起業家 冬の暖かな日にロンドンで会ったステファニー・シャーリー(88)は、手土産をくれた。過去40年間に彼女が行ったリーダーシップ、フェミニズム、起業家精神、慈善事業に関する講演を編纂した彼女の新著だ。 90歳近いシャーリーの人生は、ドラマチックだ。ユダヤ系ドイツ人のブルジョア家庭の次女として生まれた彼女は、戦前に家族とウィーンに逃れていたが、1939年の戦争勃発直前に姉と二人でイギリスに渡った。当時の英国政府は、「キンダートランスポート(子供輸送)」という取り組みで、1万人のユダヤ人の子供