僕が暮らしている神奈川県に緊急事態宣言が出た。食品関係会社で営業職として働く僕も、予定されていた出張を急遽取りやめ、しばらくは2週間に1度の出勤日以外は在宅勤務になる。マスメディアは、「緊急事態宣言下にある飲食店は20時閉店の要請にしたがい厳しい経営が予想される…」などと、飲食店の置かれた厳しい状況を、「もう商売にならない」「補償をちゃんとしてほしい」という店主のインタビューと共に伝えている。 大方はそのとおりだ。だが、緊急事態宣言はトリガーにすぎない。飲食店の多くは、以前から厳しい状況が続いていて、新型コロナと緊急事態宣言でその状況が全国一斉に露わになったにすぎない。言い方を変えるなら、個人経営の飲食店の多くは、元々、経営基盤が脆弱なのだ。たとえば、何十年も創業以来の値段を守っている飲食店がある。僕もそういう店は大好きだ。大変素晴らしい経営努力ではあるが、あらゆる仕入れ価格が上がっている