2019年9月から10月にかけて、2ちゃんねる(現5ちゃんねる)の「やる夫スレ」発の4作品が小説化された。ここではそのうちのひとつ『君は死ねない灰かぶりの魔女』(元スレでのタイトルは『白頭と灰かぶりの魔女』)を取り上げ、やる夫スレという特殊な表現空間から生まれたものを小説という形式に落とし込んだときに生じる差について見ていきたい。 主人公は魔法使いの弟子であり、「死ねない」呪いに加えて「時間感覚が他人の100倍遅い」「無痛」といった個別の呪いをかけられた13人の魔女のうちのひとりを師匠として、魔女たちの呪いを癒す能力を持った存在として、魔女たちと出会っていく。 大筋では物語は原作でも小説でも変わらない。 ただし、やる夫スレ上では背景もキャラクターもすべてAAを用いて表現されているが、小説になると当然、情景描写や登場人物の振る舞い、表情などは地の文で、文字だけで描かれることになる。 本作の原