約4000もの町工場が集積する東京・大田区。ここに異才を放つ女性経営者がいる。金属加工メーカーであるダイヤ精機の代表取締役、諏訪貴子氏である。諏訪氏は、創業社長である父親の逝去に伴って、2004年に社長に就任。当時は自動車業界の再編の嵐にのみ込まれ、同社は苦境に立たされていた。諏訪氏は会社立て直しのために数々の改革に着手。これが功を奏し、社長就任1年目から黒字に転換した。この記事では、諏訪氏の改革手法を掘り下げていく。まず前編では、現場で意思を通わせるために行った風土改革を取り上げる。 社長である父から2度リストラされた 「私は、こういう性格なので現場への指示はいつも大雑把。社員が考えて動いてくれるから、きちんと会社が回っていくんですよ」。ダイヤ精機の代表取締役、諏訪貴子氏は同社の好業績の秘訣を、このように説明する。 同氏は父である創業社長の後を継いで、2004年に就任した2代目社長。とい