かつて昭和の犯罪には、新聞、ラジオ、テレビといったマスメディアを意識して為される「劇場型犯罪」といわれるものがあった。犯人はメディアの先に不特定多数の「観客」がいることを自覚していた。その劇場型犯罪は、現在ではどのようなものになるのかーーそうした興味深い問いかけが、映画『22年目の告白-私が殺人犯です-』の大きなテーマになっている。 ※22年目の告白-私が殺人犯です− 2017年公開の日本映画。時効後に公の場に姿を表した殺人犯・曽根崎雅人(藤原竜也)と、彼を逮捕寸前まで追い詰めた刑事・牧村航(伊藤英明)を中心に描かれたスリラー映画。キャッチコピーは「すべての国民が、この男に狂わされる。」。 この映画は、平成を逃げのびた連続殺人鬼がタイトル通りの告白を行うところから始まる。彼は犯罪のあらましを記した自伝を出版し、様々なメディアへの相互影響を計算しながらスター然と振る舞い、毀誉褒貶ありつつも一