東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、科学者や専門家による原子力安全の取り組みや事故後の対応を、学術の在り方に立ち返って話し合おうという日本学術会議の公開シンポジウムが東京で開かれ、今後の検討には人文・社会科学など幅広い分野の知識が必要だといった意見が出されました。 このシンポジウムは「原発災害による苦難と科学・学術の責任」をテーマに、日本学術会議の哲学委員会が開いたもので、会場には120人近くが集まりました。 シンポジウムでは、4人の研究者がパネリストとしてそれぞれの意見を述べました。 “安全が骨抜きに” このうち、倫理学が専門で、専修大学教授の大庭健さんは、「原子力安全文化」ということばについて、「チェルノブイリの事故のあと、国際社会が獲得した教訓で、『原子力については安全を最優先にする文化』という意味だった。しかし、次第に、『原子力は安全だという宣伝がしみ込んだ文化』という意味