2022年7月に光文社新書の1冊として刊行された、関口高史著『牟田口廉也とインパール作戦 日本陸軍「無責任の総和」を問う』(以下「本書」「関口書」と表記)については、刊行直後から、amazonの書評欄で「超無理筋な牟田口擁護論」、「『常識』は覆らなかった」、「呆れる他ない」など、厳しい評価が相次いでいる。 これらの評価は、主として本書の第2章以降を念頭に置いたものと思われるが、本書の第1章については、牟田口の生い立ちや軍人としての成長過程を詳細に捉えており、個人的にも大変興味深い内容だった。これまで表に出ていなかった情報も多く含まれており、これらは著者の丁寧な取材や、遺族との信頼関係を構築した著者自身の人柄にも負う部分が大きいのではないかと思われる。こうした点は、率直に高く評価すべき部分であろう。 一方で、本書の第2章以降、すなわちインパール作戦を扱った内容に関しては、amazonの書評通