物品を担保に金を貸す「質屋」は鎌倉時代から続くとされる業態で戦後しばらくは2万店余りあった。ところが2015年で3034店と右肩下がり。新たな金融サービスの登場に加え、近年は買い取り専門店やリサイクルショップが台頭し、存在感がますます希薄に。歯止めをかけようと業界は懸命だ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 土本匡孝) ある大きな質屋の蔵に夜な夜なお化けが出るといううわさが立って──というくだりで始まる有名な古典落語「質屋庫(ぐら)」。質屋は古くから庶民になじみが深い職業だった。 しかし最近は縁遠い存在になり、「質入れした物品を請け出せず、質屋に所有権が移ること」を意味する「質流れ」という言葉すら知らない人が若年層を中心に増えた。「さげ(オチ)で使っても客がぽかんとしている」と落語家は嘆く。質屋業界にとってまったくもって笑えない時代になってしまった。 図が示すように、全国の質屋の数は195