政治家たちは「国民の生命と財産を守るのがわれわれの責務だ」と口を揃える。だが、その意味をどこまでわかっているのだろうか。 いま、この国では国民が代々受け継いできた“財産”が次々と外国に売り払われている。近著『日本が売られる』(幻冬舎新書)で日本の現実をあぶり出し話題を呼ぶ国際ジャーナリスト・堤未果氏が語る。 「政治家はどうすれば国民の生命財産を守ることができるかを100年単位で見通して判断しなければならない。しかし、今の日本の政治は、木材価格が高いから森林を伐採しよう、財政が厳しいから水道を売って金にしよう、人手不足だから外国人労働者を受け入れよう、と目先のことだけで法改正してしまう。その結果、制度に欠陥が生まれ、外国人や外国資本の餌食になって国益を損なっている」 どんな流れの中で国益を叩き売りする法律が誕生しているのか。 衆院予算委員会の与野党攻防が始まる前日の10月30日、1つのニュー
今国会での成立が確実視されている「水道法改正案」。さすがに、市民の生命に直結するだけに、自民や公明の内部からも反発の声が上がっている。新潟県議会では自民党議員までも水道法改正案に反対する意見書に賛同している。 法案では上下水道施設は行政が所有し、運営権を民間に委託する「コンセッション」(官民連携)方式をとるが、事実上の民間への丸投げ。現場からも厳しい声が上がっている。 「水道事業は人口減少で利益が減る一方。民間に委託したら、利益のために水道料金を上げるのは確実。結局、市民にしわ寄せがくるだけですよ」(水道事業に詳しい自治体関係者) 法案が成立すれば日本中の水道事業が海外の巨大水道会社に食い荒らされる恐れがある。すでに浜松市は昨年10月、下水道部門の運営権を水メジャーの最大手、仏ヴェオリア社を中心とする「特別目的会社」に約25億円で売却している。 水道を民営化するとどうなるのか。1997年、
先日の内閣改造で、安倍首相の“側近中の側近”として復活を遂げた稲田朋美・元防衛相。周知の通り、防衛大臣時代、自衛隊の日報隠蔽問題などあれだけ未曾有の不祥事を引き起こしておきながら、シレッと自民党の筆頭副幹事長、ましてや首相に助言を行う総裁特別補佐に就任するとは、安倍首相の「ともちん」への愛は異常としか言いようがない。 そんな稲田筆頭副幹事長だが、さっそく、新たな不祥事が明るみに出た。稲田氏が代表を務める自民党福井県第1選挙区支部が、少なくとも2014〜16年にかけて、脱税事件で有罪判決を受けた建設会社から献金を受けていたことが判明したのだ。報道によれば、稲田氏は返金を検討しているといい、事務所は稲田氏本人と献金をした会社関係者との面識はないはずと説明しているというが、こういうワキの甘さは、相変わらずということらしい。 さらに、その右翼趣味は1ミリも減っていないどころか、すでにフルスロットル
「今、幸せ?」。そう聞かれたら、あなたはどう答えますか。国連の世界幸福度報告書2018年版で、日本は104カ国中54位です。この位置は先進国と自負する日本として、どうなのかなという気がします。そこで、「どうすれば人々はもっと幸せになれるのか」を追究する学問「ポジティブサイコロジー」の第一人者であり、幸せについて多くの研究をしている関西福祉科学大学心理科学部教授の島井哲志先生にお話を伺いました。(文・聞き手=海原純子医師) ――2018年版の結果をどうお考えですか。 ポジティブサイコロジーが興味を持っている領域の一つが幸福感で、私も非常に注目しています。この世界幸福度調査は12年から発表され、その後は毎年調査されていますが、日本は一貫して低い順位で、今回もそれほど大きく変わっていません。ということで、この結果を見ても、そうだろうなというのが正直な感想です。 その人がどのくらい幸せを感じでいる
国内最大の食品公害「カネミ油症」の被害が発覚して今月で50年を迎える。北九州市小倉南区の蔵元義人さん(78)は半世紀前、ポリ塩化ビフェニール(PCB)が混入した米ぬか油を使った料理を家族で食べてカネミ油症を発症、待望の我が子は2人続けて死産だった。蔵元さんは6日に福岡市内である集いで、忘れることのできない油症被害の苦しみを語る。 1968年の春、両親と身重の妻、弟との5人暮らしの蔵元さん一家に異変が表れた。全員の体中に吹き出物ができ、大量の目やにがあふれ出た。原因が分からないまま10月になり、ある新聞記事が目に飛び込んできた。 「正体不明の奇病が続出」。記事には被害者の体中に吹き出物ができ、米ぬか油を食べた共通項があると書かれていた。慌てて自宅の流し台の扉を開けると「カネミライスオイル」のラベルが貼られた米ぬか油の容器があった。近所の米穀店から「健康に良い」と勧められ、揚げ物料理などで使っ
9月20日投開票の自民党総裁選で、安倍晋三首相(64才)が石破茂元幹事長(61才)との一騎打ちを制して3選を果たした。来年11月20日には、首相在籍日数で歴代1位2886日の桂太郎(1848~1913年)を抜き、日本の憲政史上で最長の政権が誕生することになる。 今後の安倍政権において注目されるのが、カジノだ。7月20日にカジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案が成立し、日本初のカジノ誕生が確実になった。施設数は当面、国内3か所とされる。候補地は、北海道、東京、大阪、和歌山、宮崎、沖縄などで、2022年に立地が決まり、2025年前後にオープンする予定だ。 ギャンブル依存症対策として、日本人客の入場回数は週3日、月10日までに限り、1日あたり6000円の入場料を取る。華やかなイメージのカジノだが、経済ジャーナリストの荻原博子さんは心配顔だ。 「日本は他国よりギャンブル依存症患者が多いというデ
(CNN) 2008年の夏季五輪北京大会から10年。かつての会場が廃墟と化して雑草に覆われる光景を、写真家のグレッグ・ベイカー氏が撮影した。 会場の多くは当時、五輪のために新たに建設された。用地を確保するために住民を移転させ、以前からあった建物をブルドーザーで破壊する手法が批判を浴びた。 ベイカー氏が最近カメラに収めたのは、ビーチバレーボールの競技場に草が生え、カヤックのコースにがらくたが散乱し、自転車レースのゴールが樹木に覆われる風景。ゴールラインのあたりで野菜を育てる人の姿もある。 完成することのなかったショッピングセンターの裏に、マスコットの「福娃(フーアー)」が転がっている。 北京では22年冬季五輪も開催される。夏冬両方の開催地となる都市は初めて。新たなマスコットの公募も始まった。08年大会で建てた施設の一部は再利用される見通しだ。 メーン会場となった「鳥の巣」競技場は今も人気の観
首相の安倍晋三が、2016年6月1日に記者の前で「新たな低利貸付制度で、リニア計画を前倒しする」と発表し、巨額の財投資金が、この瞬間に動き出した。 「いや、あの融資条件は、他に聞いたことがないですね」。同じ財政投融資という融資スキームを扱っている日本政策金融公庫の幹部も首をかしげる。 「そもそも、30年後から返すって、貸す方も借りる方も責任者は辞めているでしょうし、生きているかどうかも分からないですよね」 責任者は誰だ 破格の融資スキームを設計した責任者を追った。まず、財投をJR東海に貸し付けている鉄道建設・運輸施設整備支援機構に聞いた。電話口で「うちは事務をしているだけで、来てもらっても何も話せません」という。それでも横浜市にある本社を訪ねると、組織の説明はするが、財投に話を向けた瞬間、「それは国交省でお答えいただいている」と繰り返すばかり。 ところが、国交省の幹線鉄道課に足を運んでも、
一体、誰のためのオリンピックなのか──。2020年開催の東京五輪に対し、疑問の声が噴出している。極暑対策として「打ち水」やサマータイム導入を打ち出したかと思えば、大会期間中はネット通販を控えろだの、銀メダルの原材料が足りないから回収を強化しろだの、ボランティアを集めるために大学・高専の授業や試験期間を繰り上げろだのと、「五輪開催のために国民は犠牲を払え」と押し付けてばかり。「これは戦時体制に慣らすための予行演習なのでは?」と思わずにいられない。 実際、最近は早稲田大学2年生の学生が作成したという「東京五輪学生ボランティア応援団」なるサイトが話題を呼んでいる。 このサイトでは、さんざん〈1兆円以上もの予算を提示しながらボランティアにはたとえスキルがあろうが無かろうがびた一文出さない組織委の倹約精神〉や〈戦中の金属供出を彷彿とさせる都市鉱山からのメダル製作〉、〈どう考えても耐え難いであろう酷暑
「どこに抵触するのか?」 「いや、全く問題ないでしょ」 定例記者会見で地元紙記者の質問に福田紀彦市長は憮然とした表情で答える。質問の内容は、神奈川県川崎市の公共スポーツ施設「とどろきアリーナ」でイスラエルの軍事技術の見本市が開催されることについて、専門家や市民から「イスラエルによるパレスチナ占領や軍事行動に加担するのではないか」などの懸念の声が上がっている。 問題の軍事技術見本市とは、「ISDEF Japan」(イスラエル防衛&国土安全保障エキスポ)。その公式サイトによればイスラエル最大規模の軍事・セキュリティ関連の見本市であり、関連企業はもちろん世界各国の「意志決定者」、つまり防衛担当の政府関係者も訪れ、商談を行うというものだ。「ISDEF Japan」は8月29~30日の日程で、とどろきアリーナで開催される予定。すでに関連の告知も始まっている。 イスラエルは1948年の建国以来、戦争を
先日、安倍首相が2時間時刻を進めるサマータイムの導入検討を自民党に指示したという報道がありました。 実は、このサマータイムが導入されると、我々の生活に身近なある物をすべて買い換えなければならなくなるかもしれません。 というか既にタイトルでネタバレしているのですが、そのある物とは、電波時計です。 定期的に自動で時刻を合わせてくれるため、手動で時刻を合わせる手間がなく大変便利な時計なのですが、実は、現行の電波時計では現在検討が進められている2時間のサマータイムには対応できないのです。 電波時計の仕組み 電波時計は、「情報通信研究機構(略称:NICT)」という国の機関が送信している「JJY」という無線局の電波を受信して正確な時刻を取得します。 NICTは「日本標準時」を決定・維持している、まさに日本の時を司っている機関です。 何年かに一度行われる「うるう秒」の挿入のとき、大きなデジタル時計の前で
厚生労働省は7日、あらかじめ想定した「みなし労働時間」の枠内で自由に働く裁量労働制について、制度を採用する全国の事業者による自主点検結果を公表した。 休日・深夜労働に対する割増賃金の不払いや、制度対象外の業務への就労など法令や指針に違反する恐れがある事例が多数判明し、厚労省は今後、監督・指導を通じて是正を図る方針。 自主点検は今年2~5月、裁量労働制を導入している全国1万2167事業所で実施。1万793事業所から回答を得た。問題事例のうち、事業の運営など会社の経営に関わる「企画業務型」では、対象外業務への就労が回答全体の2.7%、74件で最多だった。上司から日常的に指示を受けるなど、労働者側に裁量権がない事例が2.5%、71件で続いた。 また、デザイナーや金融機関のアナリストら高度な専門性を要する「専門業務型」では、みなし労働時間などを定めた労使協定を周知していない事例が4.9%、389件
夏の甲子園が始まった。 今年はどんな感動のドラマが生まれのるかワクワクして、仕事にまったく手がつかない。そんな全国ウン千万の甲子園ファンのうれしい悲鳴が聞こえてきそうだが、実はみなさんの盛り上がりに水を差すような意見がネットの一部で盛り上がっているのをご存じだろうか。 『朝日新聞』が報じなかったこと 全国で多発する熱中症被害を受けて、「涼しい秋の開催にしたほうがいいのでは」「ドーム球場の開催を検討すべき」などと「夏の甲子園」に異論を唱える方たちが続発しているのだ。 「バカ言うな! 暑いなかでやるから甲子園なんだ」「100年も続く“聖地”をそう簡単に動かせるか」と怒りで発狂する方もいらっしゃるかもしれないが、そこは安心していただきたい。 いまの日本社会の状況を冷静かつ客観的に振り返れば、「夏の甲子園」がなくなることなどまずありえないからだ。 いま高野連が盛んに触れ回っている水分・塩分補給など
強烈な全国デビューだった――。底なしの疑惑に揺れている日本ボクシング連盟の山根明会長(78)。山根会長は3日、日本テレビ系の情報番組「スッキリ」に生出演。約30分にわたって、助成金の不正流用やパワハラ、「おもてなしリスト」や審判への圧力など、数々の疑惑について釈明したのだが、その発言がブッ飛んでいた。 山根会長は、予定より約40分遅れて、薄いスモークのかかった金縁のサングラス姿で生出演に登場。形だけのおわびを言うと、なぜか息子や孫娘、ひ孫などの名前を挙げて身内に謝罪。ロンドン五輪ボクシング金メダリストで現世界チャンピオンの村田諒太選手が辞任を促したことについて聞かれると「生意気だよ!」と一喝。審判へ圧力をかけてお気に入りの奈良出身の選手を優遇したとされる「奈良判定」疑惑に話が及ぶと、「(優遇したことは)ありません」。とりわけ目立ったのは、自身が被害者かのような口ぶりである。 助成金の不正流
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