4月11日、世界のガス業界に衝撃が走った。北米における天然ガスの先物価格が100万BTU(英国熱量単位)当たり1.98ドルという異常な安値をつけたのだ。直近の高値圏だった2008年夏が同13ドル台であることを考えればその低さがうかがえ、この10年の最安値まで下落した。 世界的にエネルギー価格が高騰する局面において、この異変をもたらしたのは、北米発の「シェールガス革命」にほかならない。 ここ数年、北米では地中深くの頁岩(けつがん)(シェール)層を砕いて採取する非在来型の天然ガスの開発が急速に進展。米国南部からカナダまで豊富な埋蔵量が確認されていることに加え、低コストの掘削技術が確立されたため、瞬く間に供給量は拡大した。 当初は地産地消できる有望なエネルギー源として、歓迎的に受け入れられたこのガスも、急ピッチな開発と昨年からの北米の歴史的な暖冬によって、激しい供給過剰に陥った。その結果である今