2017.08.26 12:00 男が男を変えるべき。「社会が悪い」に逃げない「わたくしごと」の男性学を/『介護する息子たち』著者・平山亮さんインタビュー【2】 今年2月に刊行された『介護する息子たち 男性性の死角とケアのジェンダー分析』(勁草書房)で、介護=ケアと、庇護される立場の男性性=息子性を分析する、新しいジェンダー論を執筆された社会学者の平山亮さん。前編では、近年注目されている男性学および「男性の生きづらさ」論の問題点についてお話を伺いました。後編では、この問題についてさらに踏み込みながら、男性が気づくべき社会における優位性と、男性問題を「わたくしごと」として引き受けることの重要性についてお話いただきました。 ・「俺だってつらいんだ」に終始する男性の生きづらさ論/『介護する息子たち』著者・平山亮さんインタビュー【1】 外の目が入りづらい家事育児は女性が不利になる――SNSへの育児
<流行りの表現を借りれば「しくじり先生」。アルコール依存やドラッグ依存に苦しんだアメリカの人気作家、オーガステン・バロウズが自己啓発書を書いた。「自分を憐れむには」「癒えないままで生きるには」「子供を先立たせるには」など、体験に裏打ちされた重みのあるバロウズ流アドバイスとは> 父親はアルコール依存症、母親は統合失調症。12歳で保護者を失い、アルコール依存とドラッグ依存に苦しんだ末に、若き日々の特異な体験(年上男性との関係を含む......著者はゲイだ)を赤裸々に綴った回想録で一躍、時の人となる――。「まるで映画のような」という決まり文句が見事に当てはまるのが、オーガステン・バロウズの半生だ。 実に3年にわたってニューヨーク・タイムズのベストセラーリストにラインクインした回想録「Running with Scissors」(邦訳『ハサミを持って突っ走る』バジリコ刊)は、もちろん映画化された。
『最貧困女子』著者が脳機能障害に! 自分が障害をもってわかった生活保護の手続もできない貧困女性の苦しみ 本サイトではこれまで貧困と格差というテーマに取り組んできたが、特にルポライター鈴木大介氏による『最貧困女子』(幻冬舎新書)や『最貧困シングルマザー』(朝日文庫)は大きな反響を呼んだ。それは、こうした作品が従来の風俗ルポや貧困本にない視点をもっていたからだろう。 これまでタブーとされてきた貧困女性とセックスワークの関係、その背後にある搾取、さらに貧困の陰にうつや統合失調症などの精神疾患や発達障害、知的障害があることを明らかにしたのだ。しかも、単に興味本位で取材をするのでなく、彼女たちと同じ目線に立って、時には取材対象である女性たちに生活保護を受給できるよう説得し、動く。決して上から目線の“取材者“ではなく、時に絶望的な状況や、誰ひとり救えない自分の非力を嘆く鈴木氏の筆致には貧困への憎しみ、
とても刺激的な映画を観(み)て、本を読んだ。たまたま同時期に公開/出版されたものにすぎないが、両者を並べて評してみたい。 映画は森達也監督の「FAKE」。佐村河内守氏を取材したドキュメンタリーだ。一昨年のゴーストライター騒動−−聴覚障害者で現代のベートーベンとも呼ばれた著名作曲家に、実はゴーストライターがいた。本人は楽譜も書けず、耳もよく聞こえると告発されたのだ。ワイドショーや週刊誌で袋叩(だた)きに遭い、マスヒステリーの様相を呈した。 騒動は完全に消費され、その後、佐村河内氏は沈黙を貫く。「FAKE」のカメラは、妻と猫と引きこもる自宅室内へと侵入、佐村河内氏の肉声を伝える。出演依頼に訪れるテレビ関係者の滑稽(こっけい)な態度、追及する外国人ジャーナリストとの緊迫したやりとり。「A」や「A2」でオウム真理教の内部から外へとカメラを向けた森監督の卓抜した手腕は存分に発揮される。だが、それだけ
この本、すごく面白かったし、勉強になりました。 執筆者は、「やや日刊カルト新聞」(主にカルト問題についての記事を扱う、ニュースサイト形式のブログ)の元主筆を務められていた「藤倉善郎」さんという方。 最近まで、ブログの執筆を手掛けていたらしいのですが、現在は主筆の座を退いて「総裁」「創始者」と名乗っているようです。 カルト宗教は全般的にやや下火傾向の昨今ですが、とはいえ完全に消沈したわけはなく、依然社会にのさばっている息の長い教団もあれば、先般の寺社に油のような液体がまかれた事件で有名になった、キリスト系の某新宗教のような新手の教団も勃興してきているのも事実。 この本では、世間でも良く知られている、割と知名度の高い教団を中心に取り上げられているし、 2012年8月に発刊された著書ということで、情報としては比較的新しい部類に入るのではないかと。 本の裏面には、 体当たりで取材を挑み続けてきた筆
打算の政治を続ける日本と、まず理念ありきのアメリカ。複数のリスクが絡み、曲がりなりにも良好な関係を保ってきた日米関係はいま最大の危機にある。戦後日本に巣食う「反米」の正体… 「反米」日本の正体 [著]冷泉彰彦 米国に滞在して22年の著者が、日米の間にある矛盾や「ねじれ」を解説した。 著者は自民党の「親米保守」は、打算的な日米協調と反米的なイデオロギーが貼りあわされた不安定な路線と分析。一方で、リベラル勢力にも、米国に対する親近感はなく「反米という依存においては右派も左派も同様の心理」だと指摘する。 その結果、日本の政界には、政権にいる時だけ、日米関係を重視した政策を採用し、政権から離れると自由な言動に戻るなどの「甘えの構造」が根を張っているが、米国がこれを許容し続けると考えるのは間違いだと警鐘を鳴らす。戦後70年、日米関係のあり方を考え直すきっかけを与える一冊だ。 ◇ 文春新書・842円
■著者に会いたい「黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実」 《リチャード・ロイド・パリーさん(46)》 2001年、英国人女性ルーシー・ブラックマンさんが遺体で見つかった事件。発覚当時から事件を追い続けた英国人ジャーナリストが、手記をまとめた。 当時は英インディペンデント紙の特派員。「記事になる話」としか思わなかった。だが、世の関心が薄れても、次第に夢の中にまで事件が出てくるほど入れ込んだ。イラク戦争の取材中も頭を離れることはなかった。「ただの犯罪の話ではない。私がよく知る日本と英国という二つの社会が交わる物語だと思った」 初来日は16歳の時。クイズショーで優勝して得た日本旅行だった。ヨーロッパとは全く異質の文化に魅了され、英国の大学卒業後、日本で暮らすように。事件が起きたのは、日本を「第二の家」と思い始めた頃だった。友人らの話から、ルーシーさんが日本で感じた興奮と孤独が自身の
サイコパスの研究者が、サイコパスであったーーこの衝撃の事実を皮切りに物語は始まる。科学者視点による所見と自分自身のこれまでの体験、二つの視点が交錯する中で際立っていたのは、両者の間に大きな乖離が存在するということであった。 サイコパスの定義とは今日の科学の進展をもってしても、未だ不確かなものである。一般的に「精神病質」と表されるサイコパスの特徴は「平板な感情の動き」に代表される対人関係における共感性の欠如である。映画『羊たちの沈黙』『ハンニバル』に登場するレクター教授のような、古典的なサイコパス像を思い出される方も多いだろう。 だが決して凶悪な殺人犯だけを指すわけではなく、人を思い通りに操縦しようとしたり、嘘に長け、口がうまく、愛嬌たっぷりで、人の気持ちを引きつけたりといった特徴も含むものとされる。むろん著者は人殺しや危険な犯罪を犯したことなどなかったし、それどころか科学者として成功し、幸
2014-12-29 日経新聞編「エコノミストが選ぶ経済図書ベスト10」2014年版、発表 日経朝刊 新聞 本 記録 【Sponsored Link】【 "Share" or "Pocket" 】 Tweet 発表されたのは昨日だが。2014年12月28日の日経朝刊19面より。毎年恒例の「エコノミストが選ぶ経済図書ベスト10」。2011年版から記録しているので、惰性で今年も記録。基本的に単行本のみの発売の書籍が多く、Kindle版があまりないので、年末年始の読書には間に合わん模様。2011〜2013版は、以下。 リンク 日経新聞編「エコノミストが選ぶ経済図書ベスト10」の2011〜2013年版を、「今年の漢字」とともに振り返る - この世の果てブログ ちなみに今年の漢字は「税」ね。なんじゃ、そりゃ。 「エコノミストが選ぶ経済図書ベスト10」2014年版 1、『労働時間の経済分析 超高齢
野蛮な進化心理学―殺人とセックスが解き明かす人間行動の謎 作者: ダグラス・ケンリック,山形浩生,森本正史出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2014/07/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (12件) を見る 本書は進化心理学者ダグラス・ケンリックによる進化心理学にかかる一般向けの科学啓蒙書だ.原題は「Sex, Murder, and the Meaning of Life」.ケンリックは,「パートナー探し,配偶(つまりセックスに関する)動機を印象づけることでアンケート調査の内容に変化があらわれるか」「どのようなヒトがどのような殺人ファンタジーを持つ傾向があるか」等を調査することによりヒトの心理,行動傾向が明らかになることを指して,「どん底」からの見方と呼んでいて,それが邦題の元になっている.本書の内容はそれだけではなく,どん底からの見方で何がわかるかをまず提示し,それを統合し
宮台 僕にとって10年以上前に岸見先生にお会いしたことが重大な転機になっています。岸見先生の『アドラー心理学入門』を読み、僕自身も若い頃にアドラーの強い影響下にある自己啓発セミナーのトレーニングを受けていたことがあって、それが何だったのかをアドラーの枠組みで位置づけ直しました。 その上で、僕が本や講演で使ってきた概念やフレーズにどう対応するのか考えました。そのプロセス抜きでは僕が今やっている性愛ワークショップも政治ワークショップも成り立たない。だって、いろんな理由を持ち出して「できない」と悩む人が来るんだから。「あなたは悪くない」じゃ話になりません(笑)。 神保 なるほど、やりたいけどできないって言う人に「実は君はやりたくないんだよ」って言うんですね。 宮台 これは優先順位の問題です。本人はやりたいと言うし実際やりたいのだろうが、実はそんなに優先順位が高くない。代わりに「モテたいのにモテる
2011年春、東北の被災地に行ってきたことがある。 GW後ならば、私のような非力な人間でも需要があるだろうと思い、友人のプロジェクトに参加させてもらう形で、規制線内に物資などの支援に行ってきた。 語弊があるかもしれないが、そこで見たのは、死者に優しく、弱者に厳しい世界だった。自衛隊員が絶望的な表情で、膨大な人力と重機で遺体捜索する一方、道路が寸断された向こう側では、眼鏡、スリッパ、毛布、サインボール等が散乱する海岸近くの砂地で被災者たちがテント生活を送り(公共施設からはみ出る形)、そこには水道もガスもトイレもなく、風呂はサウナ、電気は発電機で若干しかない状態だった。他方、上空では、海自のヘリがしきりに遺体捜索で飛んでいた。 元自衛官の友人は、「自衛隊は遺体捜索より、さっさと道路等のインフラを修復し、被災者の生活再建と向上に注力するべき」ではないかと呟いたが、私も同感だった。既に亡くなった方
2000〜10年代、転職や資格、異業種交流などを通じてスキルアップ、キャリアアップを図ろうという“ブーム”があった。現在でも、朝活やTOEIC受験、資格取得などにはげむ人は多く、“スキルアップブーム”は一向に冷める気配はない。しかし、『なぜ、勉強しても出世できないのか?』(ソフトバンククリエイティブ)の著者、佐藤留美氏によれば、そんな“スキルアップ族”の多くは失敗し、スキルダウンしていったという。 今回、佐藤氏に、 「勝ち組になるはずだった若者たちは、どうして負け組になってしまったのか?」 「幸せな仕事人生を送るために“本当に”必要な仕事術」 について聞いた。 ーー今回、『なぜ、勉強しても〜』を書かれたきっかけについて、教えていただけますでしょうか? 佐藤留美氏(以下、佐藤) 私はこれまでに、一生懸命スキルアップに励んでいる、いわゆる「スキルアップ族」と呼ばれる30歳前後の人をたくさん取材
障害者の所得保障について、障害基礎年金や生活保護などの社会保障制度の視点からに留まらず、「障害者の雇用の促進等に関する法律」の雇用義務制度や納付金等の所得保障性にも着目しているところが本書の特色。 障害者の所得保障について、障害基礎年金や生活保護制度などの直接的保障である社会保障制度の視点から論ずるに留まらず、「障害者の雇用の促進等に関する法律」の雇用義務制度や納付金等の所得保障性にも着目して論じているところに本書の特色がある。 過去に発表した論文をリライトしたという著作のせいだろうか、学説・法律・意見などの注記が詳細かつ緻密である。 論文をリライトしたということによるのだろうか、同じ内容の繰り返しも各所にみられて、私のような素人には読みにくさがある。 本書は、表題の分析を諸外国の制度と比較する中で我が国の所得保障が抱える課題を浮き彫りにしようと試みている。 比較対象とした国は、アメリカ、
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