現代社会に潜む支配や抑圧のシステムに対して、批評的かつユーモアのある作品を発表する現代美術家・演出家の高嶺格。今回、3.11以降タブー視されてきた原子力と日本社会をテーマに、鋭い視点からインスタレーションを展開する。会期は2月17日まで。 「現代美術は難解だ」と苦手意識を持つ人に、水戸で開かれている「高嶺格のクールジャパン」展へ足を伸ばすよう勧めたい。展覧会をとおして、むしろ難解なのは現実の日本社会であり、現代美術は社会を理解する手がかりになりうる、と感じるはずだ。 たとえば、上映している映像作品「ジャパン・シンドローム」。内容は、食料品店や飲食店などで放射能の影響を尋ねる寸劇だ。客の「大丈夫?」の問いに、「細かいことは気にしな~い」とおどける魚屋の男性、「わたしも食べてますから」と声を尖らせるレジ係の女性。最小限の舞台装置の中で出演者が繰り広げるやりとりは、実にリアルだ。それもそのはず