日本はじめ世界各国で社会保障費が膨らむ中、最低限の所得を国が国民に保障する仕組み「ベーシックインカム」(基本所得)が注目されている。貧富の格差や貧困を減らし、豊かな福祉国家を目指す。一見、夢のような話で、「究極のばらまき策」との批判があるが、欧米などでは導入実験も始まっている。どこまで現実味がある政策なのだろうか。
私たちは今、ある意味でユートピアに住んでいると、オランダの歴史学者でジャーナリストでもあるルトガー・ブレグマンは言う。昔の人々には想像もつかないほど豊かで健康的な暮らしを送り、より高いレベルの教育を受けている。だがその一方で、この後どんな世界を目指すのかという新しいビジョン、 新しいユートピアについてのアイデアが、私たちには決定的に欠けていると、ブレグマンは指摘する。 著書『隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』の中で、ブレグマンは次のユートピアを実現するための3つのアイデアを提唱している。すべての人に無条件で、生活に必要な最低限度の現金を支給するユニバーサル・ベーシックインカム(UBI)。週15時間程度までの労働時間の大幅な削減。そして、国家間の格差を是正し成長のチャンスを創る、世界中の国境の開放である。 同書の日本での出版に合わせてブレグマンは来日し、5月1
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