自殺した人に共通する脳の異常は、鬱病などで活性化する偏桃体ではなかった JOHN LUND/GETTY IMAGES <自殺者の脳は何が違うか──その知識を生かせば悲劇を未然に防げる?> 自らの命を絶つ前の週、ジェレミー・リッチマン(49)はフロリダ州のフロリダ・アトランティック大学で講演を行った。 テーマは「人間であることの脳科学」。脳科学を活用すれば、自分や他人を傷つけるリスクがある人に気付き、支援の手を差し伸べられる可能性がある──それが3月19日に行われた講演の趣旨だった。 聴衆の関心も高かったに違いない。この2日前、フロリダ州パークランドのマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で昨年2月に起きた銃乱射事件の生存者の1人が自殺していた。数日後には、同じ高校の生徒がまた1人命を絶った。アメリカの自殺者は増加傾向にあり、17年には4万7000人に達した。 リッチマンは、このテーマにこ
約25m下に日本海が波打つ東尋坊の崖──。そこで思い詰めてる人物がいないかを双眼鏡で探している男性がいる。そう、彼の目的、そんな人々が飛び降りる前に、思いとどまらせること。 15年間そんな日々を続け609人を命の淵から救った彼の姿を、米紙「ロサンゼルス・タイムズ」が取材した。 雨の日に飛び降り自殺をする人はあまりいない。 自殺志願者たちは、天候が回復して人々が外出するとき、惨めさを思い出して飛び降りるのだ。彼らは金融危機や、学校の休み明けといった、人生の苦しみが大きくなる時期に飛び降りる。 しかし、茂幸雄さんの日課が天気に左右されることはない。 ほとんど毎日、約25m下に日本海が波打つ東尋坊の崖の、玄武岩でできた柱をよじ登り、歩き回る。双眼鏡を覗いて、遠くの岩々にうちひしがれた姿がないか探す。話しかけて、彼らを思いとどまらせる心づもりで。 15年間そんな日々を続けた結果、茂さんは609人を
セルフ・ネグレクトから孤独死という負の連鎖は高齢者だけでなく、団塊ジュニアやゆとり世代にも起こりうる話だ 不摂生や医療の拒否、部屋のごみ屋敷化などによって、自らの健康状態を脅かす、セルフ・ネグレクト(自己放任)。孤独死とも密接な関係にあるこのセルフ・ネグレクトが、近年大きな社会問題となっている。緩慢な自殺と呼ばれるセルフ・ネグレクトの最前線を追った。 「ああ、このお部屋は、セルフ・ネグレクトですね」 全国に展開している大手特殊清掃会社の特殊清掃人の女性は、部屋に入るなり、厳重な防毒マスク越しに私にそう教えてくれた。スースーという呼吸の音だけが、家主を失った部屋に響く。 築30年は下らない老朽化したアパートの、いわゆるゴミ屋敷のような6畳一間の部屋。そこで50代の男性は、脱ぎ捨てたおむつや、段ボール箱、散乱するコンビニのお菓子の空袋に埋もれるようにして亡くなっていた。 特殊清掃現場のほとんど
孤独担当相、野宿死対策に続く自殺防止担当相[ロンドン発]世界メンタルヘルス・デーの10日、英国のテリーザ・メイ首相はイングランド地方の自殺防止担当相を新設、メンタルヘルス・格差担当の政務次官ジャッキー・ドイルプライス氏を初代担当相に任命しました。 メイ首相は今年に入って孤独担当相を新設したり、野宿死対策を発表したりするなど、メンタルヘルスに深刻な問題を抱える「どん底」の1%を救う政策を次々と発表しています。英国全体の自殺者数を見ておきましょう。 自殺者の総数は1988年の6873人(男性4850人、女性2023人)をピークに年々、下がっており、昨年は5821人(男性4382人、女性1439人)。 2008年の世界金融危機のあと、財政再建のための緊縮財政で福祉が切り捨てられ、前年には5391人まで減っていた自殺者が13年には6242人まで増えました。 人口10万人当たりの自殺者数(自殺率)は
すべてが自己責任 殺人発生率と自殺率を比較した「内向性」の数値では日本と韓国が飛びぬけている Nakao Yuriko-REUTERS 殺人と自殺。いずれも「殺」という文字のついた究極の社会的な逸脱行動であり、その国際ランキングはよく話題になる。殺人率は中南米、自殺率は旧共産圏の社会で高いことはよく知られている。 しかしながら、この逆の方向を向いた2つの逸脱行動を同時に観察することで、当該社会の国民性のようなものが見えてくる。このような試みは、これまであまりないようだ。 下の<表1>は、2010年の殺人発生率と自殺率の国際統計を集計したもの。前者は人口10万人あたりの殺人発生件数であり、出所は国連薬物犯罪事務所(UNODC)ホームページの「Crime and criminal justice statistics」だ。後者は人口10万人あたりの自殺者数で、世界保健機関(WHO)ホームページ
夏休み後半から休み明けは子どもの自殺が多発するという。厚生労働省の統計(2017年)では全体の自殺者数は減ったが、20代以下だけ微増している。9月は自殺予防週間(10~16日)もある。自殺予防について、2回にわたって考える。 ⇒【画像】小中高生の自殺者数の推移 福岡市の福岡大病院は、救命救急センターに搬送された自殺未遂者に、精神科医や救命救急医らが連携して積極的に関わることで自殺予防につなげている。再び自殺を図りやすいとされる未遂歴のある人を継続的に支援し、社会復帰を後押しするという全国的にも珍しい取り組みだ。 深夜の福大病院救命救急センター。マンション5階の自宅から飛び降りて搬送されてきた20代の女性は、複雑骨折した脚の出血が激しい。エックス線撮影し、すぐに手術へ。担当医は治療の傍ら、家族関係など救急隊からの情報をまとめて精神科に連絡。搬送から12時間以内に精神科医が病床に駆け付け、本人
お使いのInternet Explorerは古いバージョンのため、正しく表示されない可能性があります。最新のバージョンにアップデートするか、別のブラウザーからご利用ください。 Internet Explorerのアップデートについて オーストラリアの環境・植物学者デイビッド・グドールさん(104)が10日、スイスの医療機関で自らの命を絶った。自死支援団体エグジット・インターナショナルが発表した。 グドールさんは末期症状を抱えていたわけではなかったが、生活の質(クオリティー・オブ・ライフ)が低下していたことから、自死の決断をしたと語っていた。 オーストラリアではビクトリア州でのみ自殺ほう助が認められているが、対象者は末期患者に限られる。 そのためグドールさんが自殺ほう助の認められているスイスに向かったことから、世界中の注目を浴びた。 直前の会見で、グドールさんは人生を「終わらせられることを幸
「みなさん、こんな気持ちになることはありませんか?」 東京都足立区の第6中学校の音楽室で、2人の保健師が1年生約100人に優しく語りかけた。 「今の自分に自信がもてない」「自分なんてどうでもいい人間だと思う」「他の人がうらやましい」「他の人と比べて自分はダメな子だと思う」「自分がいることで、誰かに迷惑をかけている気がする」「『消えてしまいたいと思う」「イライラがずっと消えない」…… そして、イライラしたり、辛い思いをした時のストレス解消方法のあれこれを伝授していく。 「でも、一番のお勧めは信頼できる人に話すことです。では、あなたの信頼できる人って、どんな人かな?」 特別授業「自分を大切にしよう」 これは、同区が行っている特別授業「自分を大切にしよう」の一コマだ。いじめ対策と連動した自殺予防教育として、2014年に始まった。区内の小中高校に、保健師を派遣し、悩みがある時や友達が悩んでいる場合
日本人の労働時間の長さは世界でもトップクラスだ。若者たちの中には、文字通り死ぬまで働く者もいる。そこで政府に対し、対策の強化を求める声が上がっている。
今週は「自殺予防週間」。企業では自殺予防には力を入れるようになったが、事後の対応には「責任がない」と言い放つ管理者もいる。だが、自殺や未遂が起こると、周囲の6人に強い心理的な影響が起こると言われている(*1) 。そのときの対応について、今回はリーダーが知っておきたいマネジメントスキルを紹介する。(医療ジャーナリスト 福原麻希)● 適切な方法で死と向き合うことで 影響をより最小化する 身近な人との死別は、それがどんな理由でも、悲しくてつらい。特に、ある日突然、亡くなった場合、遺された人は動揺し、混乱し、気持ちの整理がつかない状態が続く。 自殺で亡くなった場合は、より一層、衝撃を受けやすい。 「そんなことありえない(否認)」「どうして、自殺なんかしたのか(怒り)」という気持ちのほか、「なぜ、(異変や違和感に)気づかなかったんだろう(自責の念)」と気がつけば考えごとばかりしている状態に陥ってしま
福祉保健局は、令和5年7月1日から福祉局と保健医療局に再編し、URLを変更しました。下の各局バナーからトップページに進み、分野別取組・キーワード等で検索をお願いします。 ブックマーク、お気に入り等に登録いただいている場合は、お手数ですが、再登録をお願いします。 The Bureau of Social Welfare and Public Health was reorganized into the Bureau of Social Welfare and the Bureau of Public Health on July 1, 2023, and the URL was changed. Please proceed to the top page from the banners of each bureau below and search by area-specific i
愛知、岐阜両県の鉄道駅に掲示中の自殺防止ポスターが波紋を広げている。鉄道利用者への影響を指摘する文言を盛り込んだところ、有識者らが自殺者の遺族を傷つけると指摘。抑止効果についても疑問が寄せられた。苦情を受け、一部に撤去の動きも出ている。 ポスター制作を呼びかけたのは名鉄。JR東海、近鉄、名古屋市営地下鉄も賛同し昨年10月、約850枚を441駅に掲示した。 スローガン「STOP自殺」や相談電話の番号のほか、「鉄道での自殺は、大切な命が失われるだけでなく、鉄道を利用する多くのひとの安全や暮らしに関わってきます」との文言を書き込んだ。名鉄では年20~30件の鉄道自殺があり、遅延や損害が発生、遺族に賠償請求することもあるといい、自殺対策は同社にとって切実な問題だ。 だが、この文言について13日、名古屋市自殺対策連絡協議会で、遺族の自助グループのリメンバー名古屋自死遺族の会代表幹事花井幸二さん
新国立競技場の建設工事に関わっていた23歳の新卒男性が今年3月に失踪し、長野県で遺体で見つかった。警察などの調査で、自殺と判断された。「自殺は仕事が原因」として、両親は上野労働基準監督署に労災認定を申請、代理人の弁護士が7月20日に厚労省で記者会見した。【BuzzFeed Japan / 渡辺一樹】 男性は、大学卒業直後の2016年4月、都内の建設会社に就職し、現場監督をしていた。 2016年12月17日、新国立競技場地盤改良工事に従事することになって以降、極度の長時間労働、深夜勤務、徹夜が続いた。自殺直前の1カ月で、徹夜が3回もあり、夜22時以前に仕事が終わったのは5日だけだったという。 男性は2017年3月2日、突然失踪した。「今日は欠勤する」と会社に連絡があり、それを最後に一切連絡がとれなくなった。誰からの連絡にも応じなくなった。 そして、4月15日に長野県内で遺体が発見された。警察
昨年10月、大手広告代理店である電通に勤務していた高橋まつりさんが、過重労働が原因で自殺したと労災認定され、長時間労働に対し同社へ世間の厳しい目が向けられた。 また、学校でいじめに合い、自殺に及んでしまったというニュースを耳にすることも度々ある。 自殺やその背景について、自殺当時は注目されても、その後法廷では何が争われているのかはなかなか聞かない。過労自殺、いじめ自殺の損害賠償請求裁判が、どのような論理で法廷で争われ、社会学の立場からはどのように見ることができるのか。 『自殺の歴史社会学』(青弓社)の共著者の一人である明治学院大学社会学部の元森絵里子准教授に話を聞いた。 ――一時期の年間自殺者3万人超からは下回ったとはいえ、現在でも自殺のニュースを目にすることは多いと感じます。今回、自殺をテーマにした理由とは? 元森:歴史社会学の研究会を共著者である貞包英之さんや野上元さんたちと開くにあた
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