時間がすべてを癒してくれる──何かに苦しんでいるとき、私たちはこの言葉を頻繁に耳にする。だが、悩み苦しむ人たちの話を直接聞いている心理療法士の中には、この考え方自体が私たちにどれほどの悪影響を及ぼしているかという点を指摘する人もいる。どういうことだろうか? 時間が「薬」になるという考え方は、よくある誤解だという。心理療法士に助けを求める人たちはよく、「こんなに長い間、引きずっているべきではないと思う」と話す。つらかった離婚の成立から1年間がたった時点での言葉かもしれないし、愛する人を失ってから2年後の発言かもしれない。こうした人たちは、長期間にわたって自分がもがき続けていること自体に、ストレスを感じている。 実際のところ、こうした人たちの多くは、その苦しみの原因が起きたのがまるで昨日のように思っている。自分の経験について語るのもつらいし、話し始めれば、彼らがどれほどの痛みを持っているかは容