愛媛に住んでるじいちゃんが死んだ。最後に会ったのは今年の正月、コロナ対策で、窓越しに手を振っただけだった。その前に会ったのはいつだったか。「次わたしが東京から帰るまで生きといてよ」「頑張って生きとこわい」そんな話をした。なのに死んだ。危篤だと連絡があってから数日後のことだった。祈った。いるのかわからない神か何かに祈った。じいちゃんを生かしてくださいと祈った。祈るってこういう事なんだなと初めて理解した。初めてかもしれない。祈ったのは初めてかもしれない。 峠は越したはずだった。なのに死んだ。夜中の1時に、母から「じいちゃんが亡くなりました」とラインが来た。世界からすっと音が消えた。重力が何倍にもなった。じいちゃんが死んだ。電話越しに聞く母の声は滲んでいた。電話はすぐに切れた。思い出したように私も泣いた。声を殺して泣いた。殺しても殺しきれない涙が声が零れてきた。 「人は生き返らないのに、何故生き